鉄筋の加工、組立ておよび継手に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 鉄筋の曲げ加工は、鉄筋の材質を害さないよう常温で行うことを原則とし、一度曲げ加工を行った鉄筋の曲戻しは、曲げ加工部に脆化や微細な有害ひび割れを生じるおそれがあるため、原則として行ってはならない。
- 異形鉄筋の重ね継手において、鉄筋径が太くなると所要の重ね継手長さが長くなって配筋が過密となり、コンクリートの充填性を著しく阻害するため、建築工事標準仕様書 JASS 5 では、D35以上の異形鉄筋には原則として重ね継手を用いてはならないと規定されている。
- 鉄筋のガス圧接継手において、強度の異なる鉄筋同士を接合する場合は、加熱・加圧時の均一な変形を確保するため、同一種類間または強度区分が直近に隣接する種類間(例:SD345とSD390)とし、同一種類の鉄筋で呼び名(径)の差が 7mm を超える場合は原則として圧接してはならない。
- 鉄筋のガス圧接継手において、接合部のふくらみの外観検査基準(JIS Z 3120)では、ふくらみの直径は母材鉄筋の公称直径の1.4倍以上(SD490では1.5倍以上)とし、圧接部のふくらみの頂部と鉄筋端面の突合せ位置とのずれは、鉄筋の公称直径と同等以下でなければならない。
【正解と解説】
正解:4
- 選択肢1:適当
熱間圧延異形棒鋼の曲げ加工は、材質劣化を防ぐため常温加工が原則です。また、一度曲げた鉄筋を曲げ戻すと、曲げ加工によって塑性変形・加工硬化した結晶組織に過大な引張・圧縮ひずみが繰り返し加わり、脆化(割れ)や内部欠陥を引き起こすため、曲戻し加工は原則として禁止されています。 - 選択肢2:適当
重ね継手は、鉄筋周囲のコンクリートの付着作用によって応力を伝達します。太径鉄筋になると必要継手長さが過大になり、2本並列による有効あき・かぶりの不足やコンクリートの豆板・充填不良の原因となるため、JASS 5 では「D35以上の異形鉄筋には重ね継手を用いない」ことを原則としています(通常、ガス圧接継手や機械式継手を採用)。 - 選択肢3:適当
ガス圧接継手において、材質や強度が大きく異なる鉄筋同士を接合すると、加熱時の変形能や溶融挙動の差異により界面の接合不良を招きます。そのため、「同一種類間」または「強度区分が直近に隣接する種類間」(例:SD295とSD345、SD345とSD390)でなければなりません(SD345とSD490は隣接しないため不可)。また、径が異なる異径鉄筋の圧接は、呼び名の差が 7mm 以下(例:D25とD32など)を原則とします(ただしD41とD51の組合せは可)。 - 選択肢4:不適当
ガス圧接部のふくらみの形状検査基準(JIS Z 3120)において、圧接面のずれ(ふくらみの最も太い頂部位置と実際の鉄筋突き合わせ面とのずれ)の許容差は「鉄筋径(公称直径)の 1/4(25%)以下」と厳しく規定されています。公称直径と同等(100%)までずれてしまうと、ふくらみの中心から外れた細い部分で接合されることになり、所要の引張耐力が確保できなくなります。
💡 本日の重要チェックポイント
- ガス圧接継手の外観検査基準(JIS Z 3120)
- ふくらみの直径:公称直径の 1.4 倍以上(SD490は 1.5 倍以上)
- ふくらみの長さ:公称直径の 1.1 倍以上(SD490は 1.2 倍以上)
- 偏心量(中心軸のずれ):公称直径の 1/5(20%)以下
- 圧接面のずれ:ふくらみ頂部から公称直径の 1/4(25%)以下
- 折れ曲がり:4°(または 1/50)以内(目視で明らかな折れ曲がりがないこと)
- 形状不良:著しいつぼ形(直径/幅 > 1.6)、たれ下がり、焼き割れ、アンダーカット等がないこと。
- 鉄筋継手の選定留意点
- 重ね継手:D35以上は原則不可(D32以下に適用)。応力の小さい箇所に設け、一断面に集中させず互いにずらす。
- 機械式継手:ねじ節鉄筋継手、スリーブ圧着継手、モルタル充填継手など。太径鉄筋や過密配筋部に有効。