コンクリート主任技士の試験対策として、今回は「配(調)合設計」および「施工」の分野から、実際の現場でのトラブルや品質低下に直結し、試験でも超頻出である「材料分離(ブリーディング)とその影響」に関する問題をお届けします。
ブリーディングのメカニズムや、それが硬化後のコンクリート(特に鉄筋との付着や耐久性)に与える悪影響は、記述式(論文)でも必ず押さえておくべき重要テーマです。
【問題】フレッシュコンクリートのブリーディングに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- (1) ブリーディングとは、材料分離の一種であり、打ち込み後のコンクリートにおいて、固体材料(セメントや骨材)の沈降に伴って、練混ぜ水の一部が遊離して表面に上昇する現象をいう。
- (2) コンクリートのブリーディング量(またはブリーディング速度)を低減させるためには、単位水量を減らすことや、セメントの比表面積(ブレーン値)を大きくして微粉末の量を増やすことが有効である。
- (3) ブリーディングによって上昇した水が、水平に配置された鉄筋の下側にトラップされて溜まる現象を「レイタンス」と呼び、これが発生すると鉄筋とコンクリートの付着強度が著しく低下する。
- (4) 縦方向に長い柱や壁のコンクリートにおいて、ブリーディングが著しいと、部材の上層部ほど水セメント比が実質的に大きくなり、下層部に比べて強度の低下や乾燥収縮ひび割れが発生しやすくなる。
【正解】
(3)
【解説】
- (1) 正しい: ブリーディングの定義に関する正しい記述です。重いセメントや骨材が重力で下に沈み、軽い「水」が上へと押し出される現象です。
- (2) 正しい: ブリーディングを抑制するための配合上の対策です。根本的な原因である「水(単位水量)」を減らすか、水を受け止めるセメントなどの微粉末を細かく(比表面積を大きく)して保水性を高めることで、水の浮上を抑えることができます。
- (3) 誤り(これが正解): 非常に重要な用語の引っ掛け問題です。上昇した水(および微細な物質)が、水平鉄筋や粗骨材の下側に溜まって空隙を作る現象のことは「水たまり(ウォーターゲイン)」と呼びます。 一方、「レイタンス」とは、ブリーディング水によってコンクリートの最表面に運ばれ、水が蒸発した後に残った「セメントの微粒子や不純物からなる、白くて脆弱な泥状の層」のことを指します。どちらも付着を阻害する悪影響を与えますが、発生する場所と現象の名前が異なります。
- (4) 正しい: ブリーディングが部材に与える影響(不均質化)に関する正しい記述です。水が上に集まるため、部材の上部は水分過多(実質的な水セメント比の上昇)になり、強度が弱く、ひび割れしやすい脆弱なコンクリートになってしまいます。
要点チェック(材料分離の用語を整理):
- ウォーターゲイン(水たまり): 骨材や**鉄筋の「下側」**に水が溜まる現象。鉄筋との付着力を落とす原因。
- レイタンス: コンクリートの**「最表面」**に堆積する、白くて脆い微粉末の層。打ち継ぎ時の付着を落とす原因(打継ぎ時はこれを除去する「チッピング」などが必要)。
- ブリーディングの弊害: 上記のほか、水が上がった通り道が「水密性の欠陥(毛細管)」となり、将来的な中性化や塩害を早めます。
「ウォーターゲイン」と「レイタンス」の定義の入れ替えは、択一試験での大定番です。それぞれの言葉が指す「場所」をイメージして区別できるようにしておきましょう!