コンクリート主任技士の試験対策として、今回は「配(調)合設計」および「施工・品質管理」の分野から、午後択一の計算・理論で頻出であり、記述式(小論文)でも品質評価の根幹となる「配合強度と品質基準強度・設計基準強度の関係(偏差および割り増し係数)」に関する問題をお届けします。
構造物の安全性を確保するために、設計基準強度(f’c)に対してどの程度の割り増しを行って配合強度(fcr)を設定するかという計算ロジックは確実にマスターしておきましょう。
【問題】コンクリートの配合強度の決定に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- (1) 配合強度(fcr)は、コンクリートの強度分布が正則な正規分布に従うと仮定した場合、構造物中のコンクリート強度が設計基準強度(f’c)を下回る確率が 5% 以下となるように設定するのが一般的である。
- (2) 過去の製造実績から得られたコンクリート強度の標準偏差(σ)が 3.0 N/mm² であり、品質基準強度が 24.0 N/mm² の場合、正規分布の規格値外確率 5% に対応する係数 1.645 を用いて求められる配合強度は、約 28.9 N/mm² である。
- (3) コンクリートの標準偏差(σ)は、製造工場の技術的管理レベルを示す指標であり、一般に管理体制が十分に整備され、計量精度や骨材の品質変動が小さい工場ほど標準偏差の値は大きく(高く)なる。
- (4) 建築工事標準仕様書(JASS 5)における配合管理強度(Fm)の設定では、設計基準強度(Fc)に「構造体強度補正値(Sn)」を加えることで、現場の養生環境や気温変動による強度発現の遅れを考慮している。
【正解】
(3)
【解説】
- (1) 正しい: 配合強度の基本概念です。強度のばらつき(正規分布)を考慮し、下限(規格値外確率 5%)をカバーするように平均値(配合強度)を高めに設定します。
- (2) 正しい: 配合強度の計算式に関する記述です。fcr = f’c + 1.645 ・σ = 24.0 + 1.645 × 3.0 = 24.0 + 4.935 = 28.935 ≈ 28.9 N/mm²この基本計算パターンは午後択一でそのまま出題されます。
- (3) 誤り(これが正解): 統計量(標準偏差)の意味に関する基本概念の引っ掛けです。標準偏差(σ)とは「ばらつきの大きさ」を表す尺度です。技術的管理レベルが高く、品質が安定している(計量誤差が少なく骨材の表面水管理等が徹底されている)工場ほど、製品の強度データの散らばりが小さくなるため、標準偏差(σ)の値は「小さく(低く)」なります。「大きくなる」とした記述が明確な誤りです。
- (4) 正しい: JASS 5(建築)における配合管理強度の特徴です。土木と異なり、建築では予想平均気温に応じて構造体強度補正値(Sn)を Fc に加算して発注強度を決定します。
要点チェック(標準偏差と配合強度の関係):
- 標準偏差(σ): 小さいほど「品質管理が高精度(ばらつきが少ない)」ことを意味する。
- 配合強度の決定: σ が小さい工場ほど、割り増し分(1.645 ・ σ)が少なく済み、**経済的な配合(セメント量を抑えた配合)**が可能となる。
「標準偏差が小さい=高品質・ブレが少ない=無駄な割り増しが不要」という因果関係を頭に入れておきましょう。