硬化コンクリートの非破壊試験および内部探査方法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- テストハンマーによる圧縮強度の推定(反発度法)において、コンクリート表面の中性化(炭酸化)が進行している部材では、炭酸カルシウムの生成により表面組織が硬質化しているため、内部の実態強度に比べて反発度が過大に測定され、強度を過大評価しやすい。
- 超音波伝播速度法による内部欠陥やひび割れの探査において、コンクリートが湿潤(飽水)状態にある場合は、気乾状態(空隙が空気で満たされている状態)にある場合に比べて、空隙内を通過する超音波の見掛けの伝播速度が遅くなるため、内部欠陥を過小評価しやすい。
- 鉄筋かぶりの探査に用いられる電磁誘導法は、プローブ内のコイルに交流電流を通じて発生させた磁界により鉄筋内に生じる二次磁界を検出するものであり、かぶりが概ね 100mm 程度以下の比較的浅い鉄筋の配置位置やかぶり厚さを高精度に測定するのに適している。
- 電磁波レーダ法による配筋や内部空洞の探査では、コンクリートと探査対象物との比誘電率の相違による反射波を受信するため、鉄筋だけでなくコンクリート内部の空洞や塩ビ管などの非金属管の探査も可能であるが、コンクリートの含水率が高い場合には電磁波の減衰が大きくなり、探査可能深度が低下する。
【正解と解説】
正解:2
- 選択肢1:適当
テストハンマーは、供試体や構造体表面近傍(深さ 20~30mm 程度)の反発硬度を測定して圧縮強度を推定します。中性化が進んだコンクリートでは、水酸化カルシウムが大気中の二酸化炭素と反応して緻密で硬質な炭酸カルシウム(CaCO₃)を析出するため、部材内部の強度よりも表面硬度が高くなり、反発度が過大(見掛けの強度が実際より大きく評価)になります。そのため、中性化が深い場合は中性化深さに応じた補正を行うか、表面を斫り(はつり)取って未中性化面で測定する必要があります。 - 選択肢2:不適当
超音波の伝播速度は、空気中(約 340m/s)よりも水中(約 1,500m/s)の方が大幅に速く、健全なコンクリート中では約 3,500~4,500m/s です。ひび割れや空隙が水で満たされた湿潤(飽水)状態にあるコンクリートでは、空隙内が空気で満たされている気乾状態に比べて、超音波が水を通じて速く伝わるため、見掛けの伝播速度は「速く」なります。したがって、「伝播速度が遅くなる」とする記述は物理的に誤りです。なお、湿潤状態では欠陥による速度遅延が隠蔽され、欠陥を見落としやすく(検出感度が低下)なる点にも注意が必要です。 - 選択肢3:適当
電磁誘導法は、交流磁界を印加して磁性体(鉄筋などの鋼材)に渦電流を誘起させ、その二次磁界の変化から位置やかぶりを測定します。かぶり深さ 100mm 程度以下の比較的浅い領域において、鉄筋径や配筋間隔の影響を受けつつも高い測定精度を有します。磁性をもたない空洞や塩ビ管などの非金属物は探査できません。 - 選択肢4:適当
電磁波レーダ法は、マイクロ波(高周波電磁波)を放射し、境界面における比誘電率(εr)の差(コンクリート:約 6~10、金属:∞、空気:1、水:約 81、PVC:約 3)による反射波を捉えます。金属だけでなく空洞や非金属管(塩ビ管等)の探査も可能です。ただし、水の比誘電率が非常に高いため、コンクリートが高含水状態になると電磁波が強く吸収・散乱され、減衰が著しくなって深部までの探査が困難(探査可能深度が低下)になります。
💡 本日の重要チェックポイント
- 非破壊試験における測定値への影響要因
- テストハンマー(反発度法):
- 中性化:表面硬化により反発度が過大評価される。
- 含水状態:湿潤面は打撃エネルギーが吸収され反発度が低く(小さく)測定される(補正要)。
- 打撃角度:水平打撃を基準とし、下向きはプラス補正、上向きはマイナス補正を行う。
- 超音波法(伝播速度):
- 音速の序列:鋼材(約 5,900m/s) > コンクリート(3,500~4,500m/s) > 水(1,500m/s) 》 空気(340m/s)。
- 湿潤状態:気乾状態より伝播速度が速くなり、内部空隙の検出が難しくなる。
- テストハンマー(反発度法):
- 鉄筋探査技術の比較探査手法探査原理検出対象探査可能深度主な特徴と留意点電磁誘導法電磁誘導・二次磁界磁性金属(鉄筋等)浅い(≤ 100mm 程度)かぶり測定精度が高い。非金属は探査不可。電磁波レーダ法比誘電率差による反射波鉄筋、空洞、塩ビ管等深い(≤ 300mm 程度)面的な探査・内部欠陥探査に適。高含水時に電磁波減衰大。