寒中コンクリートの材料、配合、施工および養生に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- コンクリートの練上がり温度を高めるために材料を加熱する場合、水または骨材を加熱することとし、局部的な急結や異常凝結を防止するため、セメントはいかなる場合でも直接加熱してはならない。また、急結を防ぐため、セメントを投入する直前のミキサ内の水と骨材の混合物の温度は 40℃ 以下とする。
- 打込み時のコンクリート温度は、構造物の断面寸法や気象条件を考慮して一般に 5~20℃ の範囲とするが、部材断面が薄い場合や気象条件が厳しい場合には、運搬・打込み時の熱損失や部材の急激な冷却を考慮して、最低打込み温度を 10℃ 程度確保する。
- 寒中コンクリートにおいては、コンクリート中の凍結可能な自由水量を減らして初期凍害に対する抵抗性を高めるため、単位水量をできるだけ小さく設定するとともに、連行された微細な独立気泡により凍結時の水力圧を緩和するため、必ずAEコンクリートとする。
- コンクリートが硬化初期に凍結した場合であっても、初期凍害を防止できる圧縮強度(5.0N/mm²)に達する前であれば、直ちに給熱養生を開始して 5℃ 以上の湿潤環境で養生し直すことにより、硬化後の強度発現性や耐久性の低下を完全に回復させることができる。
【正解と解説】
正解:4
- 選択肢1:適当
寒中コンクリートで材料を加熱する場合、熱容量が大きく加熱が容易な「水」、次いで「骨材」を加熱します。セメントは熱伝導率が低く均一な加熱が困難であり、高温のセメントを使用すると急結や凝結異常を引き起こすため、いかなる場合でも直接加熱してはなりません。また、セメントの瞬結(フラッシュセット)を防ぐため、温水と骨材を先にミキサへ投入し、混合物の温度が 40℃ 以下になってからセメントを投入します。 - 選択肢2:適当
打込み時のコンクリート温度は、一般に 5~20℃ の範囲を標準とします。ただし、スラブなどの部材厚が薄い構造物や寒風を受ける厳しい環境下では、打込み直後の熱損失(温度降下)が極めて速いため、初期凍結を確実に防ぐ目的で最低打込み温度として 10℃ 程度を確保する必要があります。 - 選択肢3:適当
コンクリート中の毛細管水が凍結する際の膨張圧(水力圧)を緩和するため、「単位水量をできるだけ少なくすること」と「AE剤等により微細なエントレインドエアを連行させること(AEコンクリートの原則)」は、初期凍害の防止および供用後の耐凍害性確保の双方において不可欠な基本方針です。 - 選択肢4:不適当
コンクリートは、凝結・硬化の初期に一度でも凍結すると「初期凍害」を受け、セメントペースト組織に微細なひび割れや破壊が生じます。この破壊は不可逆的であり、その後にいかに適切な温度や湿潤環境で給熱・再養生を行っても、失われた強度発現性、水密性、耐久性を回復させることはできません。したがって、寒中コンクリートの施工管理においては、「凍結してから回復させる」のではなく、「初期凍害を防ぐ強度(5.0N/mm² 以上)が得られるまで一度たりとも凍結させない」ことが絶対の原則です。
💡 本日の重要チェックポイント
- 寒中コンクリートの適用基準
- 日平均気温が 4℃ 以下になることが予想される場合(示方書)。
- 初期凍害防止に必要な圧縮強度の目安(示方書)
- まれに凍結融解する環境:5.0N/mm²
- 厳しい気象条件:薄い部材 15N/mm²、普通 12N/mm²、厚い部材 10N/mm²
- 温度管理・養生上の重要ルール
- 打込み時温度:5~20℃(薄い部材は最低 10℃ 確保)
- 初期養生終了後:急冷を避けて徐冷し、厳しい気象作用を受ける場合はさらに少なくとも2日間は 0℃ 以上に保つ。
- 凍結地盤への打込み:解凍時の不等沈下を防止するため、凍結した地盤上への直接打込みは禁止(事前の保温・解凍が必要)。