コンクリート主任技士の試験対策として、定期配信の本日は「耐久性・環境」および「試験・検査」の分野から、択一式・記述式(小論文)ともに超頻出の最重要テーマである「アルカリシリカ反応(ASR)のメカニズムと抑制対策(JIS A 5308基準)」に関する問題をお届けします。
反応性骨材の判定試験や、混合セメント(高炉セメントB種など)によるアルカリの固定化メカニズムは絶対にマスターしておきましょう。
【問題】アルカリシリカ反応(ASR)およびその抑制対策に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- (1) ASRは、骨材中の反応性シリカ鉱物と、コンクリートの細孔溶液中に存在する高濃度のアルカリ水酸化物(Na⁺,K⁺, OH⁻)が反応してアルカリシリカゲルを生成し、これが吸湿・膨張することによってひび割れを発生させる現象である。
- (2) 骨材のアルカリシリカ反応性試験方法(化学法・モルタルバー法)において、「無害でない」と判定された反応性骨材を使用する場合であっても、コンクリート中のアルカリ総量を 3.0 kg/m³ 以下 に抑制することでASRを抑制できる。
- (3) ASRの抑制効果を有する混和材料として「高炉セメントB種」や「フライアッシュセメントB種」があるが、これらの混和材(高炉スラグ微粉末やフライアッシュ)は細孔溶液中のアルカリ水酸化物を消費・固定化し、組織を緻密化させることで反応を強力に抑制する。
- (4) ASRによって構造物に発生するひび割れは、無筋コンクリート構造物の場合は主鉄筋の配置方向に沿った「直線状のひび割れ」となり、鉄筋で拘束された鉄筋コンクリート部材の場合は「亀甲状(網目状)のひび割れ」となる。
【正解】
(4)
【解説】
- (1) 正しい: ASRの基本的なメカニズムです。「反応性骨材」「アルカリ(水酸化物イオン)」「水分」の3条件が揃うことで膨張性のアルカリシリカゲルが生成され、内部膨張圧によってコンクリートが破壊されます。
- (2) 正しい: JIS A 5308(および国土交通省基準)におけるASR抑制対策の原則1「アルカリ総量規制」に関する数値規定です。コンクリート 1㎥ 中に含まれる全アルカリ量を「3.0 kg/m³ 以下」に抑えることで、ゲル生成・膨張を抑制します。
- (3) 正しい: ASR抑制対策の原則2「抑制効果のある混合セメントの使用」に関する記述です。高炉スラグ微粉末やフライアッシュのポゾラン反応・潜在水硬性により、アルカリ(Na⁺, K⁺)が水和物内部に取り込まれて細孔溶液中の OH⁻ 濃度が大幅に低下し、組織も緻密化するため高い抑制効果を発揮します。
- (4) 誤り(これが正解): ひび割れパターンの拘束状態に関する超定番のあべこべ(逆)問題です。
- 無筋(拘束力がない)部材: 縦横・全方向に等しく膨張するため、「亀甲状(網目状・地図状)のひび割れ」が発生します。
- 鉄筋コンクリート(鉄筋で拘束されている)部材: 鉄筋が配筋されている方向への膨張が抑えられるため、比較的拘束の弱い「主鉄筋の配置方向(長手方向)に沿った直線状のひび割れ」が発生します。 記述は無筋と鉄筋コンクリートのひび割れパターンが「逆」になっているため、明確な誤りです。
要点チェック(ASR抑制対策の3大基本ルール):
- 無害な骨材の使用: 試験(化学法・モルタルバー法)で「無害」と確認された骨材を使う。
- アルカリ総量の抑制:3.0 kg/m³ 以下 に制限する。
- 抑制効果のある混合セメントの使用:高炉セメントB種・C種、フライアッシュセメントB種・C種(分量規定を満たすもの)等を使用する。
「拘束力がない(無筋)=亀甲状」「鉄筋で縛られている=軸方向に直線状」という応力と変形の関係を押さえておけば、図解や小論文(劣化診断)の問題でも迷わず回答できます。