コンクリート主任技士の試験対策として、定期配信の本日は「試験・検査・品質管理」および「施工」の分野から、実務の品質管理・非破壊検査で極めて重要であり、午後の択一式(評価法)や記述式(診断・補修)で差がつきやすい「コンクリート中の小径コアによる圧縮強度試験(JIS A 1107 / 示方書)」に関する問題をお届けします。
構造物本体の強度を直接確認するためのコア採取ルール、特に供試体寸法(径と高さの比 h/d)や補正方法のメカニズムは絶対にマスターしておきましょう。
【問題】構造体から採取したコンクリートコアの圧縮強度試験に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- (1) 構造体コンクリートの圧縮強度を評価するために採取するコア供試体の直径(d)は、原則として粗骨材の最大寸法の 3倍以上 とすることが望ましい。
- (2) コア供試体の高さ(h)と直径(d)の比(h/d)が 2.0 より小さくなる場合、コアの圧縮強度試験値は標準的な供試体(h/d = 2.0)に比べて高く測定されるため、形状比に応じた補正係数を乗じて補正する必要がある。
- (3) コア供試体の端面仕上げ(キャッピング)において、セメントペーストやアンバウンドキャッピング等を用いて端面の平面度を確保することは、試験時の偏心荷重を防ぎ、適切な強度測定を行うために不可欠である。
- (4) 構造体から採取したコアの圧縮強度試験値は、標準養生を行った供試体の強度に比べて、現場の養生条件(気温低下や乾燥など)の影響を受けるため、一般に高くなる(上回る)傾向がある。
【正解】
(4)
【解説】
- (1) 正しい: コア径の規定です。コア内部での粗骨材の偏りをなくし、全体の平均的な強度を正確に測定するため、コア直径(d)は使用粗骨材の最大寸法の3倍以上(少なくとも2倍以上)確保するのが原則です。
- (2) 正しい: コアの形状比(h/d)補正に関する正しい記述です。載荷時に試験機の加圧板と供試体端面の間に働く「摩擦力」の束縛効果により、高さが低い(h/d が小さい)供試体ほど見かけの圧縮強度は「高く」測定されます。標準的な形状(h/d = 2.0)と同等に評価するため、1.0未満〜2.0未満のコアでは補正係数(1.0より小さい値)を掛け算して強度的数値を下方に補正します。
- (3) 正しい: 端面処理(キャッピング)に関する記述です。端面に凹凸があると、載荷時に局部的な集中荷重(偏心)がかかって低い強度で早期破壊してしまいます。高強度のセメントペーストや硫黄キャッピング、あるいは規定のアンバウンドキャッピングで平滑性を保つ必要があります。
- (4) 誤り(これが正解): 構造体強度と標準養生強度の相違に関する超定番問題です。水中で理想的な温度(20℃)で管理される「標準養生供試体」に比べ、現場の構造体コンクリートは乾燥や外気温の変動、打込み密度の差などの影響を受けます。そのため、構造体から採取したコア強度は、標準養生強度に比べて一般に「低く(下回る)」傾向を示します。「高くなる(上回る)」とした記述が明確な誤りです。
要点チェック(コア強度試験のポイント):
- コア径: 粗骨材最大寸法の 3倍以上 が原則。
- 形状比(h/d)補正: 供試体が背低(h/d < 2.0)になるほど、拘束効果で見かけの強度は高くなる ➔ 補正が必要。
- 構造体 vs 標準養生: 構造体コア強度は、標準養生強度より低い値になりやすい。
コア強度と現場養生の関係は、小論文(構造体強度補正値 S_n の妥当性検証や既存構造物の健全性評価)でもそのまま使える基本知識です。