コンクリート主任技士の試験対策として、今回は「耐久性・劣化現象」の分野から、近年の試験でも非常に出題頻度が高い「アルカリシリカ反応(ASR)」に関する問題をお届けします。ASRのメカニズムや、コンクリート構造物の劣化を未然に防ぐための「抑制対策(JIS規格やJASS 5の規定)」は、択一式だけでなく記述式(論文)でも必須の超重要テーマです。
【問題】
コンクリートのアルカリシリカ反応(ASR)とその抑制対策に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
(1) アルカリシリカ反応は、セメントなどに含まれるアルカリ金属イオン(Na+やK+)と、骨材中の特定の反応性シリカ鉱物が反応して吸水膨張性のゲルを生成し、コンクリートにひび割れを生じさせる現象である。
(2) アルカリシリカ反応によるひび割れの特徴として、拘束力のない無筋コンクリート構造物では「亀甲状(網目状)」に発生しやすく、プレストレストコンクリート(PC)構造物では「PC鋼材の配置方向(プレストレス導入方向)」と直交する方向に発生しやすい。
(3) 骨材のアルカリシリカ反応性試験(化学法またはモルタルバー法)によって「無害」と判定された骨材を使用することは、ASRの確実な抑制対策の一つである。
(4) セメントのアルカリ総量による抑制対策を適用する場合、コンクリート1㎥中に含まれるセメント由来のアルカリ総量を Na₂O換算で 3.0 kg 以下に品質管理しなければならない。
【正解】
(2)
【解説】
(1) 正しい: ASRの発生メカニズムに関する正しい記述です。生成されたアルカリシリカゲルが周囲の水分を吸収して体積膨張するため、コンクリート内部から突っ張るようにひび割れが発生します。
(2) 誤り(これが正解): ひび割れの「方向」に関する重要な引っ掛けです。ASRによる膨張圧は全方向に働きますが、プレストレス(強い圧縮力)が導入されている方向はコンクリートが拘束されているため、ひび割れが開きにくくなります。そのため、ひび割れは**拘束力が緩い方向(プレストレス導入方向、つまりPC鋼材の配置方向と「平行」な方向)**に沿って直線的に発生しやすくなります。直交方向ではないため、この記述が誤りです。
(3) 正しい: 骨材自体の反応性をチェックして安全なものを使う対策です。JIS A 1145(化学法)や JIS A 1146(モルタルバー法)で「無害」と判定された骨材を使用すれば、ASRは発生しません。
(4) 正しい: コンクリート総アルカリ量の規制値に関する正しい記述です。骨材の反応性が「無害」と証明できない場合などは、コンクリート1㎥あたりの総アルカリ量を 3.0 kg 以下に抑えることで反応を抑制します。試験でもこの「3.0 kg」という数値は非常によく問われます。
要点チェック
ASRのひび割れ方向: 鉄筋やPC鋼材がある場合、「拘束の少ない方向(鉄筋や鋼材と平行な方向)」にひび割れが走る。その他の抑制対策(重要): 高炉セメントB種やフライアッシュセメントB種などの「混合セメント」を使用することも極めて有効です(コンクリート内のアルカリを固定・希釈するため)。> ASRは「骨材の反応性」「アルカリ量」「水分」の3つが揃うと発生します。それぞれの対策(無害な骨材を使う、3.0kg以下にする、混合セメントで抑制する)をセットで暗記しておきましょう!