型枠に作用するコンクリートの側圧、および型枠・支保工の施工と取外しに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 一般の普通コンクリートにおいて、型枠に作用する側圧は、コンクリートの打上がり速度が速いほど、また打ち込み時のコンクリート温度が低いほど大きくなる。
- 高流動コンクリートや流動化コンクリートなどの高流動性コンクリートを打ち込む場合、コンクリートの自重流動性が高く骨材のかみ合わせ等によるアーチ作用が期待できないため、型枠に作用する側圧は原則として打込み高さ全体にわたり液圧として設計する。
- 土木学会コンクリート標準示方書において、型枠および支保工を取り外してよい時期の圧縮強度の参考値は、柱や壁の側面などの薄い鉛直部材では 5.0N/mm² 以上、スラブや梁の底面などの水平部材では 14.0N/mm² 以上と規定されている。
- 日本建築学会 JASS 5 において、スラブ下や梁下を支持する支保工(支柱)の取外し時期は、上階からの過大な施工荷重が作用しない部位であれば、打ち込まれたコンクリートの圧縮強度が 5.0N/mm²(長期・超長期では 10.0N/mm²)以上に達したことが確認されれば取り外してよい。
【正解と解説】
正解:4
- 選択肢1:適当
コンクリートの側圧は、下層のコンクリートが水和・凝結して内部摩擦を発現する前に上層が打ち重ねられると増大します。したがって、打上がり速度が速いほど側圧は大きくなります。また、コンクリート温度が低いほど凝結・硬化が遅延するため、液状を保つ深さ(ヘッド)が深くなり、側圧は大きくなります。 - 選択肢2:適当
高流動コンクリートや流動化コンクリートは流動性が極めて高く、骨材間の摩擦や型枠壁面での抵抗、アーチ作用による圧力減衰がほとんど期待できません。そのため、型枠の構造計算では、打上がり速度にかかわらず原則として打込み高さ全体にわたり液圧(P = W₀H、W₀:単位体積重量、H:打込み高さ)が作用するものとして設計します。 - 選択肢3:適当
土木学会コンクリート標準示方書(施工編)に示される型枠・支保工の取外し時期における圧縮強度の参考値は、次のとおり規定されています。- フーチング側面などの厚い鉛直面:3.5N/mm² 以上
- 柱・壁・梁側面などの薄い鉛直面:5.0N/mm² 以上
- スラブ・梁底面などの水平部材:14.0N/mm² 以上
- 選択肢4:不適当
JASS 5 において、圧縮強度 5.0N/mm²(計画供用期間の級が短期・標準)および 10.0N/mm²(長期・超長期)は、柱・壁・梁側などの「せき板(鉛直部材)」を取り外すための基準です。スラブ下や梁下を支える「支保工(支柱)」は、自重だけでなく上階からの施工荷重を安全に支持する必要があるため、原則としてコンクリートの圧縮強度が「設計基準強度の100%以上」に達したことが確認されるまで存置しなければなりません(構造計算により安全性が確認された場合を除く)。
💡 本日の重要チェックポイント
- コンクリート側圧が大きくなる要因
- 打上がり速度が速い
- コンクリート温度・気温が低い(凝結が遅い)
- スランプが大きい(高流動・軟練り)
- 単位体積重量が大きい
- バイブレータによる加振深さが深い
- 型枠・支保工の脱型基準の比較
規格基準部材・部位脱型に必要な圧縮強度JASS 5(建築)せき板(柱・壁・梁側)5.0N/mm² 以上(短期・標準)
10.0N/mm² 以上(長期・超長期)JASS 5(建築)支保工(スラブ下・梁下)設計基準強度の 100% 以上標準示方書(土木)鉛直部材(柱・壁・梁側)5.0N/mm² 以上(フーチングは 3.5N/mm²)標準示方書(土木)水平部材(スラブ・梁底)14.0N/mm² 以上