コンクリート主任技士の試験対策として、今回は「配(調)合設計」の分野から、近年の環境配慮型コンクリートの流れもあり、試験での出題頻度が非常に高くなっている「混合セメント(特に高炉セメントB種)を用いたコンクリートの設計・特性」に関する問題をお届けします。
普通ポルトランドセメントとの性能の違いや、設計時の注意点は、記述式(論文)でも非常によく狙われる重要テーマです。
【問題】高炉セメントB種を用いたコンクリートの特性および配(調)合設計に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- (1) 高炉セメントB種は、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性により、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートに比べて長期強度の伸びが大きく、化学抵抗性や水密性にも優れている。
- (2) 高炉セメントB種は初期の水和熱が低いため、マスコンクリートの温度ひび割れ対策として有効であるが、初期の強度発現が遅いため、寒中コンクリートへの適用にあたっては初期凍害や養生計画への十分な配慮が必要である。
- (3) 配合設計において、高炉セメントB種を用いたコンクリートの設計基準強度(f’c)を管理する材齢は、強度発現が遅い特性を考慮し、特記がない限り原則として「材齢91日」としなければならない。
- (4) 高炉セメントB種は、高炉スラグ微粉末の作用によりコンクリート内部の空隙を緻密化するため、外部からの塩化物イオンの侵入(拡散)を抑制する効果が普通ポルトランドセメントよりも極めて高い。
【正解】
(3)
【解説】
- (1) 正しい: 高炉セメントB種(高炉スラグ微粉末を30〜60%混合したもの)の代表的な特徴です。初期強度はやや劣るものの、長期にわたってスラグが反応(潜在水硬性)し続けるため、長期強度の伸びが大きく、組織が緻密になるため水密性や化学抵抗性(酸や硫酸塩に対する抵抗力)が向上します。
- (2) 正しい: 施工上の留意点です。発熱が穏やかなためマスコンクリートには最適ですが、気温が低い冬期(寒中)は反応がさらに遅れて強度がなかなか出ず、初期凍害を受けるリスクが高くなります。そのため、養生温度を高く保つなどの対策が必要です。
- (3) 誤り(これが正解): 配合設計における非常に重要なルールです。高炉セメントB種は長期強度の伸びが期待できるため、ダム工事や大型土木構造物などでは合理的な設計のために「材齢56日」や「材齢91日」を基準強度管理材齢とすることがありますが、JISや標準仕様書(土木学会・建築学会)における原則(特記がない場合)は、普通ポルトランドセメントと同様に「材齢28日」です。自動的に91日としなければならないという規定はありません。
- (4) 正しい: 塩害対策における高炉セメントB種の強力なメリットです。組織が緻密化することで、塩化物イオンの「拡散係数」が普通ポルトランドセメントに比べて大幅に小さくなります。そのため、海洋環境下などの塩害を受けやすい地域では非常に有効です。
要点チェック(高炉セメントB種の特徴):
- メリット: 長期強度の伸びが大、水和熱が低い(マス用)、塩化物イオン遮蔽性が高い(塩害用)、化学抵抗性アップ。
- デメリット(注意点): 初期強度の発現が遅い(初期養生・湿潤養生が極めて重要)、中性化の進行速度が普通セメントよりやや早い。
- 原則材齢: 特記なき場合は材齢28日が基準。
高炉セメントB種の「中性化がやや早い」「初期強度が遅い(よって湿潤養生期間を長く設定する)」といった弱点と、それを補うメリットの対比は小論文でも必須の知識です。しっかり整理しておきましょう。