コンクリート主任技士の試験対策として、今回は「材料・施工・環境」の分野から、近年の試験で環境対応型技術・CO₂削減技術として非常に重視され、記述式(小論文)でもキーワードとなる「フライアッシュの品質規定(JIS A 6201)および品質向上・初期強度改善」に関する問題をお届けします。
フライアッシュのポゾラン反応による長期的効果と、初期強度低下(水和遅延)に対する配合・施工上の工夫は確実に押さえておきましょう。
【問題】フライアッシュの性質およびこれを用いたコンクリートに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- (1) フライアッシュは球状の微粒子であるため、コンクリートに適切に置換・添加して使用すると、球形粒子のベアリング効果によってフレッシュコンクリートのボールベアリング作用が働き、同一スランプを得るための単位水量を低減させることができる。
- (2) フライアッシュのポゾラン反応は、セメントの水和によって生じた水酸化カルシウム[Ca(OH)₂]とフライアッシュ中の可溶性シリカが徐々に反応するものであるため、初期材齢における強度発現速度は普通ポートランドセメントのみの場合に比べて遅くなる(初期強度が低くなる)。
- (3) JIS A 6201 において、フライアッシュはブレーン比表面積や強熱減量(未燃カーボン量)等によって I 類〜 IV 類に分類されるが、強熱減量が大きい(未燃カーボンが多い)フライアッシュを使用すると、AE剤などの混和剤が吸着され、所定の空気量を確保するための混和剤の使用量が増加する。
- (4) フライアッシュを用いたコンクリートは、ポゾラン反応によって組織が密実化するため水密性や耐海水性(耐塩害性)が向上するが、水酸化カルシウムが消費されるため、長期的にはコンクリートの中性化抵抗性が大幅に著しく向上する。
【正解】
(4)
【解説】
- (1) 正しい:ベアリング効果に関する正しい記述です。フライアッシュの粒子は球形をしているため、練混ぜ時に滑り(ベアリング作用)を生み出し、流動性を高めて単位水量を低減(減水効果)させます。
- (2) 正しい:ポゾラン反応の速度に関する正しい記述です。セメントが水和してできた水酸化カルシウムを待ってから二次的に反応が進むため、材齢初期(7日や28日)の強度発現は緩やかですが、長期材齢(91日以降など)では組織が緻密化して高い強度と耐久性を発揮します。
- (3) 正しい:強熱減量(未燃カーボン)の影響に関する正しい記述です。フライアッシュ中に燃え残った炭素(未燃カーボン)が多いと、AE剤の界面活性剤成分を吸着してしまいます。そのため、所定のエントレインドエア(4.5〜6.5%程度)を得るためにはAE剤の添加量を増やさなければならなくなります(※未燃炭素量が少ない JIS I 類や II 類の使用が推奨されます)。
- (4) 誤り(これが正解): アルカリ源と中性化に関する超重要・頻出の引っ掛け問題です。フライアッシュのポゾラン反応は、コンクリート内部の強アルカリ性の源である「水酸化カルシウム[Ca(OH)₂]を消費して」ケイ酸カルシウム水和物を生成します。 その結果、コンクリート中の水酸化カルシウムの総量が減少するため、二酸化炭素と反応してアルカリ性を失う「中性化」に対しては、むしろ「中性化速度がやや早くなる(中性化抵抗性が低下または同等程度となる)」傾向を示します。「中性化抵抗性が大幅に著しく向上する」とした記述は完全に誤りです。
要点チェック(フライアッシュのメリット・デメリット):
- メリット(長所):
- 流動性向上・単位水量の低減(球状粒子のベアリング効果)
- 水和熱の抑制(マスコンに有効)
- 長期強度の増進、水密性・ASR抑制効果の向上(ポゾラン反応による組織緻密化)
- デメリット(注意点):
- 初期強度の低下(初期水和が遅い)
- AE剤の吸着(強熱減量・未燃カーボンが多い場合)
- 中性化速度の増大(アルカリ源である Ca(OH)₂ が消費されるため)
「ポゾラン反応=水酸化カルシウムを消費する=アルカリの貯金が減るため中性化には不利(速度が増す)」というロジックは、フライアッシュだけでなく高炉スラグやシリカフュームなどの混和材料全般に共通する重要概念です。しっかり整理しておきましょう。