コンクリート主任技士の試験対策として、定期配信の本日は「設計・構造」および「施工」の分野から、午後択一の計算・理論問題の大きな得点源であり、記述式でも鉄筋の配筋管理や定着長さの評価として極めて重要となる「鉄筋の付着応力度と定着・継手(重ね継手・機械式継手)」に関する問題をお届けします。
鉄筋とコンクリートの一体性を確保するための「付着破壊メカニズム」および「定着長さ・重ね継手長さ」の決定要因(かぶり・鉄筋径・配置条件)は、確実にマスターしておきましょう。
【問題】鉄筋の付着、定着および継手に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- (1) 異形鉄筋とコンクリートとの付着作用(付着強度)は、鉄筋表面の「節(リブ)」とコンクリートとの「噛み合い作用(すべり抵抗)」が支配的であり、丸鋼に比べて格段に高い付着力を発揮する。
- (2) 鉄筋の付着破壊は、鉄筋周囲のコンクリートが割れて破壊する「割り裂き破壊」の形態をとることが多い。このため、鉄筋のかぶり厚さを大きくすることや、帯鉄筋(スターラップ・フープ)で鉄筋を拘束することは、割り裂き割れを抑制し付着強度の向上に有効である。
- (3) 土木学会示方書における異形鉄筋の基本定着長さを算出する際、コンクリートの設計基準強度が高いほど、また使用する鉄筋の降伏強度が高いほど、必要な基本定着長さは長くなる。
- (4) 鉄筋の重ね継手において、同一断面に多数の継手を集中配置させると割裂ひび割れが生じやすくなり危険であるため、継手位置をずらして配置(千鳥配置)するか、重ね継手長さを必要な定着長さ(ld)以上に確保する配慮が必要である。
【正解】
(3)
【解説】
- (1) 正しい: 異形鉄筋の付着メカニズムに関する正しい記述です。丸鋼のような「化学的付着(付着力)」や「摩擦力」だけでなく、表面の凹凸(節と凹み)がコンクリートを機械的に噛み込む「かみ合い作用(支圧作用)」が支配的となるため、非常に高い付着応力度が得られます。
- (2) 正しい: 付着割裂破壊とその対策に関する正しい記述です。鉄筋の節がコンクリートを押す際、外側に向かって放射状の押し出し力(くさび作用)が働きます。コンクリートのかぶりが薄いと、この内部応力に耐えきれず表面に「割裂ひび割れ」が生じて付着力を失います。かぶり厚さの確保や、横方向の補強筋(帯鉄筋・肋筋)による拘束が極めて有効です。
- (3) 誤り(これが正解): 定着長さの公式とパラメータに関する超重要・頻出の引っ掛け問題です。鉄筋の基本定着長さ(ld)の考え方は、「鉄筋が降伏するまでの張力を、まわりのコンクリートの付着力(引張強度)で抜けずに保持できる長さ」です。
- 鉄筋の降伏強度(fyd)が高いほど ➔ 強い力で引き抜かれようとするため、定着長さは長くなる(比例)。
- コンクリートの設計基準強度(f’cd)が高いほど ➔ コンクリート自体の引張・付着強度が強くなり、より短い長さで保持できるため、定着長さは短くなる(反比例)。記述では「コンクリートの強度が高いほど長く(必要に)なる」としているため、明確な誤りです。
- (4) 正しい: 鉄筋の継手配置に関する正しい記述です。重ね継手位置が同一断面に集中すると、応力集中と割裂力の重複によってコンクリートが割れやすくなります。そのため、継手位置をずらす(軸方向に千鳥配置する)か、かぶり・鉄筋間隔に応じた継手長さを適切に確保する必要があります。
要点チェック(定着長さと各パラメータの関係):
- 鉄筋の強度(fyd)UP ➔ より強固な定着が必要 ➔ 定着長さは「長く」する
- コンクリートの強度(f’cd)UP ➔ 付着能力・保持能力UP ➔ 定着長さは「短くて済む」
- 割裂破壊の防止策: かぶり厚さの増大、帯鉄筋・スターラップによる拘束、継手位置の千鳥配置。
「コンクリートが強いほど、ガッチリ掴めるので定着長さは短くて済む」という物理的イメージを頭に刻んでおけば、文字だけの引っ掛け問題にも一瞬で対処できるようになります。
本日も一日、ご安全に!合格に向けて、一歩一歩着実に進めていきましょう。