問題(高強度)

コンクリート主任技士の試験対策として、本日は「施工・各種コンクリート」の分野から、橋梁・高層建築・大規模インフラの現場で急速に普及し、近年の択一試験および小論文(記述)でも頻出テーマである「高強度コンクリートの材料・配合・施工(自己収縮・火災時の爆裂など)」に関する問題をお届けします。

水セメント比(または水結合材比)を極めて小さく設定する高強度コンクリート特有の現象(自己収縮・粘性の増大・爆裂現象)は、通常のコンクリートとの違いを意識して整理しておく必要があります。

【問題】高強度コンクリートの材料、配合および施工に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • (1) 高強度コンクリートは、水結合材比が 30% 以下など非常に小さい値に設定されるため、セメントの水和反応に伴って消費される水分によって内部の自己乾燥(自己収縮)が生じやすく、初期の収縮ひび割れに対する配慮が必要である。
  • (2) 高強度コンクリートの粘性を低減させ、所要のワーカビリティー(流動性)とスランプ保持性能を確保するため、一般に「高性能AE減水剤」や「ポリカルボン酸系高性能減水剤」が使用される。
  • (3) 高強度コンクリートは硬化後の組織が極めて緻密であるため、火災などの高温加熱を受けた場合、内部の水蒸気が外部に逃げにくく、高圧の水蒸気圧によって表面が急激に吹き飛ぶ「爆裂現象」を起こしやすい。この対策として、ポリプロピレン(PP)等の有機短繊維を混入することが有効である。
  • (4) 高強度コンクリートは、普通コンクリートに比べて水和熱による最高到達温度が低くなるため、部材断面寸法が大きい部材(柱や梁など)に適用する場合であっても、温度ひび割れに対する検討を省略することができる。

【正解】

(4)

【解説】

  • (1) 正しい:自己収縮(自己乾燥)に関する正しい記述です。水結合材比が小さい(概ね 35~40% 以下)高強度コンクリートでは、外部からの水分の蒸発による「乾燥収縮」よりも、セメント自身の急激な水和反応で内部の水が消費されて細孔が負圧になる「自己乾燥」に起因する自己収縮が支配的になります。
  • (2) 正しい:混和剤の選定に関する正しい記述です。水セメント比が小さく粉体量が多いため、非常に粘性が高くなり作業性が悪化します。立体障害効果によって高い分散力と流動性を発揮する「ポリカルボン酸系高性能AE減水剤」等の使用が不可欠です。
  • (3) 正しい:火災時の爆裂(ばくれつ)とその対策に関する正しい記述です。組織が緻密すぎて水蒸気圧が逃げ場を失い爆発的に破壊(爆裂)します。これに対し、約 160 ~170℃ で溶融する「ポリプロピレン(PP)短繊維」を混ぜておくと、火災時に繊維が溶けて微細な空隙(水蒸気の抜け道)となり、爆裂を防止できます。
  • (4) 誤り(これが正解): 高強度コンクリートの水和熱特性に関する超重要・頻出の引っ掛け問題です。高強度コンクリートは、水セメント比を下げるために単位セメント量(粉体量)が 500~600 kg/㎥ 以上と極めて多くなります。そのため、セメント水和による総発熱量が膨大になり、コンクリートの最高到達温度は普通コンクリートよりもはるかに「高く」なります。その結果、内部拘束・外部拘束による大きな温度応力が発生し、マスコンクリートとしての温度ひび割れ対策が厳重に求められます。「最高到達温度が低くなる」「温度ひび割れの検討を省略できる」とした記述は明確な誤りです。

要点チェック(高強度コンクリートの特性まとめ):

  • 配合・材料: 単位セメント量が多い(500kg/㎥超)、高性能AE減水剤を使用。
  • 水和熱: 発熱量が大きく最高温度が高い ➔ 温度ひび割れの検討・対策が必須!
  • 自己収縮: 外部乾燥ではなく、内部の自己乾燥による自己収縮が大きく発生。
  • 耐火性: 組織が緻密なため火災時に**「爆裂」**しやすい ➔ PP繊維(有機短繊維)の混入が有効。

「高強度=セメントがぎっしり=ものすごく熱くなる=温度ひび割れに注意」という因果関係を頭に入れておきましょう。

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