暑中コンクリートの材料、配合、施工および品質変化に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 暑中コンクリートでは、セメントの水和反応が活発になるため初期材齢における強度発現は速やかであるが、長期材齢における強度の伸びは小さくなり、標準養生温度(20℃)で養生した場合に比べて長期強度は低下する傾向がある。
- 高温下で製造されるコンクリートは、練上がり温度の上昇に伴い同一スランプを得るために必要な単位水量が増大する傾向があり、一般に練上がり温度が 10℃ 上昇すると、所要の単位水量は 2~5% 程度増加する。
- コンクリートの練上がり温度を下げるため使用材料の温度を低下させる場合、コンクリート温度を 1℃ 低下させるために必要な材料の温度低下量は、熱容量および配合上の質量の観点から、水で約 2℃、骨材で約 4℃、セメントで約 8℃ である。
- 暑中コンクリートの運搬および打込みにあたっては、スランプの急激な低下やコールドジョイントの発生を防止するため、土木学会コンクリート標準示方書では練混ぜから打終わりまでの時間の目安を1.5時間以内とし、許容打重ね時間間隔は2.0時間以内を標準としている。
【正解と解説】
正解:3
- 選択肢1:適当
コンクリートの養生温度が高いと、初期の水和反応が急激に進行するため初期強度は高くなります。しかし、急激な水和生成物がセメント粒子周囲に偏在して緻密な組織形成を妨げ、その後の均一な水和の進行を阻害するため、長期材齢における強度の伸びは小さくなり、最終的な長期強度(材齢28日〜91日以降)は標準温度(20℃)で養生した場合よりも低下します。 - 選択肢2:適当
コンクリート温度の上昇に伴い、セメント粒子の水和活性化や水分の蒸発により流動性が低下します。そのため、同一スランプを得るための単位水量は練上がり温度が 10℃ 上昇するごとに約 2~5% 程度増加します。単位水量の過大な増加を防ぐため、遅延形AE減水剤や高性能AE減水剤の選定が不可欠です。 - 選択肢3:不適当
コンクリート温度を 1℃ 低下させるために必要な材料個別の温度低下量は、次のとおりです。- 骨材:約 2℃ 低下
- 水:約 4℃ 低下
- セメント:約 8℃ 低下
骨材はコンクリート全質量の約 70~80% を占めるため、骨材温度を約 2℃ 下げるだけでコンクリート全体を 1℃ 低下させることができ、最も温度低減効率が高くなります。水は比熱が大きいものの配合上の質量が小さいため、約 4℃ の低下が必要です(記述は水と骨材の数値が逆になっています)。
- 選択肢4:適当
暑中環境下ではスランプロスや凝結の進行が著しいため、運搬および打込み時間は通常期より短縮されます。- 練混ぜから打込み終了までの時間:示方書では 1.5時間以内(通常期2.0時間以内)、JASS 5 では 90分以内(通常期120分以内)。
- 許容打重ね時間間隔:コールドジョイントを防ぐため、示方書では外気温 25℃ 超で 2.0時間以内(通常期2.5時間以内)と規定されています。
💡 本日の重要チェックポイント
- 暑中コンクリートの適用基準
- 日平均気温が 25℃ を超えることが予想される場合(示方書、JASS 5)。
- JASS 5 では、受入れ時温度が 35℃ を超える予想期間を「酷暑期」(日平均気温 28℃ 超)と定義。
- コンクリート温度 1℃ 低下に必要な材料温度の低減量
- 骨材:約 2℃(熱量的に最も支配的 → プレクーリング・散水・日よけが有効)
- 水:約 4℃(温度管理が最も容易 → 冷水・氷・フレークアイス使用)
- セメント:約 8℃(サイロでの滞留放熱)
- 施工上の注意点
- 打込み時のコンクリート温度:原則 35℃ 以下。
- 早期の表面乾燥防止:散水・湿潤シート・膜養生剤により、プラスティック収縮ひび割れを防止。