問題(水中コンクリート)

水中コンクリートおよび水中不分離性コンクリートの材料、配合および施工に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 一般の水中コンクリートをトレミーを用いて打ち込む場合、コンクリートが周囲の水と直接接触して材料分離を起こすのを防ぐため、トレミーの先端を常に打ち込まれたコンクリート中に 30~50cm 程度挿入した状態を保持し、打込み中にトレミーを水平移動させてはならない。
  2. 場所打ちコンクリート杭や地中連続壁などの安定液(ベントナイト泥水等)中に打ち込む水中コンクリートでは、打込み上面にスライムや泥水が混入した脆弱な不良層が形成されるため、設計天端高さよりも 50~150cm 程度の余盛りを行い、硬化後に不良部分をはつり取らなければならない。
  3. 水中不分離性コンクリートは、水溶性セルロースエーテル系等の水中不分離性混和剤の作用により高い材料分離抵抗性とセルフレベリング性を発揮するが、所要の流動性を得るための単位水量は一般的なコンクリートよりも多くなり、凝結時間は通常 5~10 時間程度遅延する。
  4. 水中不分離性コンクリートの流動性の評価は、JIS A 1150(コンクリートのスランプフロー試験方法)に準じてスランプコーンを引き上げた直後の広がり径を測定して行い、流動性を高めるために高性能減水剤を併用していることから、単位水量は普通コンクリートよりも小さく抑えられる。

【正解と解説】

正解:4

  • 選択肢1:適当
    一般の水中コンクリートは、水の洗出し作用による材料分離(セメント分の流失)を防ぐため、静水中(流速 5cm/s 以下)で打ち込むことが原則です。トレミーを用いる場合、管の先端は常に打ち込み済みのコンクリート中に 30~50cm 程度(場所打ち杭等では2m 以上)挿入しておき、コンクリート内部から押し上げるように連続打設します。打込み中にトレミーを水平移動させることは、管内への水の浸入やコンクリートのかき乱しによる材料分離を招くため厳禁です。
  • 選択肢2:適当
    場所打ち杭や地中連続壁では、安定液(泥水)や底部に堆積した沈殿物(スライム)がコンクリート上面に押し上げられ、頂部に著しく脆弱な混入層が形成されます。そのため、設計天端高さよりも 50~150cm 程度(建築JASS 5では 50~ 100cm)余盛りして打ち上げ、硬化後に健全なコンクリート面まで不良部分を斫り(はつり)取ります。
  • 選択肢3:適当
    水中不分離性コンクリートは、増粘剤(セルロースエーテル系やアクリル系水溶性高分子)によって水の粘性を高め、水中共存下でもセメント粒子をゲル状に捕捉します。高粘性のためブリーディングはほとんど生じず、水中での落下(50cm 以下)や流動(5m 以下)でも水質を汚濁させません。一方で、増粘剤が多量の水を抱え込むため単位水量は普通コンクリートより多く(200kg/㎥ 超)なり、水和反応の遅延により凝結時間が一般に 5~10 時間程度遅延します。
  • 選択肢4:不適当
    水中不分離性コンクリートは粘性が極めて高いため、スランプコーン引き上げ後の流動が緩慢です。そのため、流動性の測定は引き上げ直後ではなく、「スランプコーンを引き上げてから 5分後」にスランプフローを測定します(土木学会規準 JSCE-F 503)。また、高性能減水剤を併用する場合であっても、水中不分離性混和剤の保水作用により単位水量は普通コンクリートよりも大幅に大きく(200~230kg/㎥ 程度)なります。「引き上げた直後」「普通コンクリートよりも小さく抑えられる」とする記述はいずれも誤りです。

💡 本日の重要チェックポイント

  • 一般水中コンクリートの施工要件
    • 流速制限:静水中を原則とし、最大でも 5cm/s 以下。
    • トレミー挿入長:通常 30~50cm 以上(場所打ち杭・地中壁は 2m 以上)。
    • 強度低減:気中施工時の 0.6~0.8 倍程度とみなして配合設計を行う。
    • 余盛り高さ:設計天端より 50~150cm。
  • 水中不分離性コンクリートの特性(JSCE-D 104)
    • スランプフロー測定:コーン引き上げ 5分後 に測定(標準フロー値:45~55cm)。
    • 配合特性:単位水量が多い(≥ 200kg/㎥)、乾燥収縮が大きい(普通比 20~30% 増)、耐凍害性は低い。
    • 施工制限:水中落下高さ 50cm 以下、水中流動距離 5m 以下。
    • 品質基準:水中気中強度比 ≥ 80%、懸濁物質量 ≤ 50mg/L、pH ≤ 12.0。

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