高流動コンクリートの分類、フレッシュ性状、力学的性質および施工に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 粉体系高流動コンクリートは、増粘剤を用いずに水粉体比を低減(粉体量を増大)させることで材料分離抵抗性を確保したものであり、塑性粘度が高く、ブリーディングが極めて少ない。
- 増粘剤系高流動コンクリートは、セルロース系やバイオポリマー系などの増粘剤を添加して液相の粘性を高めることで材料分離抵抗性を確保したものであり、粉体量は一般的なコンクリートと同程度である。
- 高流動コンクリートは、鉄筋間隙の通過性を高めるために単位粗骨材絶対容積を小さく設定するため、同一の圧縮強度を有する普通コンクリートと比較した場合、静弾性係数(ヤング係数)は一般に大きくなる。
- 高流動コンクリートは、著しく高い流動性を有し、凝結も比較的遅い傾向にあるため、打込み時に型枠に作用する側圧は、原則として打込み高さ全体にわたり液圧(P = W₀H)として設計する。
【正解と解説】
正解:3
- 選択肢1:適当
粉体系高流動コンクリートは、増粘剤を用いず、セメントに加えて石灰石微粉末や高炉スラグ微粉末、フライアッシュ等の粉体量を多量に使用(単位粉体量を増大)し、水粉体比を小さくすることで材料分離抵抗性を付与します。ペーストの塑性粘度が高く、材料分離抵抗性に優れ、ブリーディングはほとんど生じません。 - 選択肢2:適当
増粘剤系高流動コンクリートは、増粘剤(セルロース系、アクリル系、多糖類バイオポリマー系など)によって材料分離抵抗性を付与したものです。単位粉体量は通常のコンクリートと同程度(300~ 380kg/㎥ 程度)で済むため、水和発熱による温度上昇を抑えやすい特徴があります。 - 選択肢3:不適当
コンクリートの静弾性係数(ヤング係数)は、弾性係数の大きい粗骨材の含有量(容積割合)に大きく支配されます。高流動コンクリートは、狭あいな鉄筋間隙を自己充填させるため、一般的なコンクリートに比べて単位粗骨材絶対容積を小さく(単位ペースト量を多く)設定しています。そのため、同一の圧縮強度を有する普通コンクリートと比較した場合、静弾性係数は一般にやや小さくなります。 - 選択肢4:適当
高流動コンクリートは自重で流動・変形し、内部摩擦や骨材のかみ合わせによるアーチ作用が期待できないこと、また高性能AE減水剤や遅延剤の作用で凝結が緩慢であることから、打込み直後の側圧は低減しません。したがって、型枠設計に用いるコンクリート側圧は、打込み速度等によらず原則として液圧(P = W₀H、W₀:単位体積重量、H:打込み高さ)として設計します。
💡 本日の重要チェックポイント
- 高流動コンクリートの3大分類
- 粉体系:粉体多量(水粉体比小)、増粘剤なし。高粘性、ブリーディング極小、自己収縮・水和熱大。
- 増粘剤系:増粘剤で分離抵抗性を付与。粉体量は通常と同等。水和熱を抑えやすいが、高性能AE減水剤との相性に注意。
- 併用系:中程度の粉体増量+少量の増粘剤。品質安定性に優れる。
- 自己充填性の評価試験(土木学会 JSCE-F 511)
- 充填装置(U形・ボックス形容器):仕切りゲートを開き、流動障害(R1:あき35mm、R2:あき60mm)を通過して充填高さが 300mm 以上に達するかで合否判定。
- スランプフロー:広がりの直径を測定(通常 550~ 750mm)。
- Jリングフロー試験(JIS A 1159):リング状に配置した障害鉄筋を通過させて間隙通過性を評価。