問題(品質管理)

コンクリートの品質管理、管理図法および抜取検査に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 母平均 m、母標準偏差 σ の正規分布に従う母集団から、大きさ n の試料(サンプル)を無作為抽出して標本平均 x⁻ を求めるとき、標本平均の分布の平均値は m に一致し、その標準偏差は母標準偏差の 1/√n となる。
  2. X⁻ーR 管理図において、X⁻ 管理図は製造工程における品質の平均値(中心水準)の変化を管理する目的で用いられ、R 管理図は工程における品質のばらつき(散布度)の変化を管理する目的で用いられる。
  3. JIS Z 9020-2(管理図法)における工程の異常判定基準(特殊原因の検出ルール)において、打点が中心線(CL)を挟んで ± 1σ の範囲(ゾーンC)に連続して15点以上集中している状態は、工程が極めて理想的かつ安定した管理状態にあることを示しているため、何ら調査を行う必要はない。
  4. コンクリートの圧縮強度などの品質検査において、計量抜取検査は計数抜取検査と比較して、測定された連続量のデータを有効に利用できるため、同一の判定精度を得るために必要な供試体(サンプル)の数を少なくできる利点がある。

【正解と解説】

正解:3

  • 選択肢1:適当
    統計理論(中心極限定理)に基づき、母集団 N(m, σ²) から抽出した n 個のサンプルの平均値 x⁻ は、正規分布 N(m, σ²/n)$ に従います。すなわち、標本平均の平均値は母平均 m に等しく、そのばらつき(標準偏差)は母集団のばらつき σ の 1/√n に縮小します。
  • 選択肢2:適当
    X⁻ーR 管理図は、計量値の品質管理に最も広く用いられます。
    • X⁻ 管理図(平均値管理図):品質の平均的な位置(水準のズレ)を把握し、配合や計量値の系統的な変化を監視します。
    • R 管理図(範囲管理図):サンプルの最大値と最小値の差(範囲 R)をプロットし、工程のばらつきの大きさの変化を監視します。
  • 選択肢3:不適当
    JIS Z 9020-2 における異常判定ルール(ルール7)では、「中心線の両側の ± 1σ の範囲(ゾーンC)に連続する15点がある場合」は特殊原因による異常(工程の変化)と判定されます。自然な偶然誤差であれば ± 1σ の外側にも一定確率(約32%)で点がプロットされるはずであり、中心付近に不自然に過剰集中している場合は、「異なる複数のロットが混合・平均化されている」「管理限界線(σ)の計算が過大に見積もられている」「データの層別や記録ミス」などの異常原因が疑われるため、原因の究明が必要です。
  • 選択肢4:適当
    抜取検査には「良品・不良品の個数」で判定する計数抜取検査と、「圧縮強度等の測定値(連続量)」で判定する計量抜取検査があります。計量抜取検査は各供試体の測定値の数値情報をフルに活用するため、計数抜取検査よりも判定精度(情報量)が高く、少ない供試体数で合理的に合否判定を行うことができます。

💡 本日の重要チェックポイント

  • 管理図の主な異常判定パターン(JIS Z 9020-2 ルール)
    • 限界線超過:管理限界(± 3σ)の外側に1点でも出た場合(ルール1)
    • 連(れん):中心線の片側に連続して9点以上並んだ場合(ルール2)
    • 傾向(トレンド):連続して6点以上が単調増加または単調減少した場合(ルール3)
    • 周期的変動:連続して14点が交互に上下を繰り返す場合(ルール4)
    • 中心への過剰集中:連続して15点が ± 1σ 以内に収まる場合(ルール7:成層化・混合等の異常)
  • 抜取検査の重要用語
    • 生産者危険(α):本来合格とすべき良好なロットが、サンプリングの偶然で不合格となる確率(一般に 5〜10% に設定)。
    • 消費者危険(β):本来不合格とすべき不良ロットが、偶然合格となってしまう確率(一般に 10% 等に設定)。

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