問題(施工)

コンクリート構造物の打継目、打重ねおよびひび割れ誘発目地の設計・施工に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 梁およびスラブの鉛直打継目は、構造的一体性の低下やせん断破壊を防ぐため、せん断力が最も小さくなるスパン中央付近または端から1/4付近に設け、打継ぎ面を部材の圧縮力を受ける方向と直角とするのが原則である。
  2. 柱や壁と、梁やスラブなどの複数の部材を連続して打ち込む場合、部材断面の違いによるコンクリートの沈降量の差によって境界部に沈みひび割れが発生しやすいため、柱や壁のコンクリートを梁下またはスラブ下で一旦打ち止め、コンクリートの沈下が落ち着いてから梁やスラブの打込みを行うのがよい。
  3. 乾燥収縮や温度応力によるひび割れを所定の位置に集中的に発生させるために設けるひび割れ誘発目地は、土木学会コンクリート標準示方書において、確実にひび割れを目地位置に誘発できるよう、目地部分の断面欠損率を部材厚さの 10~15% 程度とすることが推奨されている。
  4. 水平打継目の施工において、旧コンクリートの凝結終了後に高圧の空気および水を用いて表面の脆弱層を除去し、粗骨材を露出させる処理(グリーンカット)を行う場合は、骨材を緩めたり周囲を損傷させないよう適切な時期に行い、新コンクリート打込み前には打継面を清掃して十分に吸水させておく必要がある。

【正解と解説】

正解:3

  • 選択肢1:適当
    打継目は構造上の弱点となりやすいため、「できるだけせん断力が小さい位置に設け、打継面を部材の圧縮力を受ける方向と直角にする」のが大原則です。単純支持梁やスラブにおいて、支点付近(端部)はせん断力が最大となるため打継目を設けてはならず、せん断力が小さくなるスパン中央付近または端から 1/4 付近に鉛直に設けます。
  • 選択肢2:適当
    鉛直部材(柱・壁)は打込み高さが大きく沈下量が大きいのに対し、水平部材(梁・スラブ)は鉄筋に拘束されて沈下量が小さくなります。一気に打ち上げると両者の境目に沈みひび割れ(沈下ひび割れ)が生じるため、柱や壁は梁下(またはスラブ下)で一旦打ち止め、およそ1〜2時間程度沈降を待ってコンクリートが落ち着いてから梁・スラブを打ち重ねるのが原則です。
  • 選択肢3:不適当
    ひび割れ誘発目地は、断面欠損を設けて応力を集中させることで、他の部分に有害なひび割れが発生するのを防ぐ工法です。土木学会コンクリート標準示方書(施工編)では、確実にひび割れを目地に集中・誘発させるため、断面欠損率を目地部材厚さの「50% 程度以上」(片面または両面合わせて)とすることを標準としています。10~15% 程度の小さな断面欠損では応力集中が不十分となり、目地以外の想定外の箇所に不規則なひび割れが発生してしまいます。
  • 選択肢4:適当
    水平打継目の付着強度を高めるため、表面に浮上したレイタンスや脆弱部を早期に除去して健全な粗骨材を露出させるグリーンカット(高圧水・エア吹付け)は極めて有効です。新コンクリートを打ち継ぐ直前には、打継面が乾燥していると新コンクリート中の水分を奪って付着不良を起こすため、あらかじめ十分に吸水(湿潤状態)させ、かつ溜まり水を取り除いた状態で打ち継ぐ必要があります。

💡 本日の重要チェックポイント

  • 打継目の位置選定ルール
    • 梁・スラブ(鉛直打継目):せん断力の小さいスパン中央または端から 1/4 付近。
    • 柱・壁(水平打継目):スラブ・梁との接合部の下端または上端。
    • 海洋構造物:最も過酷な腐食環境となる干満帯(満潮位 +60cm ~ 干潮位 -60cm)を避ける。
  • ひび割れ誘発目地の設計目安
    • 断面欠損率:土木示方書では 50% 程度以上(建築学会では壁厚の 20% 以上)。
    • 目地配置間隔:部材高さの 1~2 倍程度(建築壁では 3m 程度以下)。
  • 打継ぎ(Joint)と打重ね(Lift)の違い
    • 打継ぎ:硬化したコンクリートに打ち継ぐ(意図的な継目処理・目荒らしが必要)。
    • 打重ね:硬化前(再振動可能時間内)に打ち重ねて一体化させる(コールドジョイントの防止が必須)。

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