コンクリート主任技士の試験対策として、今回は「施工・劣化」の分野から、実務の打込み計画でも極めて重要であり、試験でも細かな規定が狙われやすい「高強度コンクリートの施工管理」に関する問題をお届けします。
設計基準強度が高くなると、粘性の変化や自己収縮など、普通コンクリートとは異なる特有の挙動を示すため、その違いがよく問われます。
【問題】高強度コンクリートの施工に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- (1) 高強度コンクリートは、水セメント比(または水結合材比)が小さく、高性能AE減水剤を多量に使用するため、フレッシュコンクリートの粘性が高くなり、ポンプ圧送時の管内圧力損失(圧送負荷)が普通コンクリートに比べて大きくなる。
- (2) 高強度コンクリートは単位セメント量が多く水和熱による温度上昇が大きいため、部材寸法が小さくてもマスコンクリートとしての取り扱い(温度ひび割れ対策)を検討する必要がある。
- (3) 高強度コンクリートは、凝結前後の急激な水分蒸発によって発生するプラスチック収縮ひび割れのリスクは高いが、硬化後にコンクリート内部の水分消費によって発生する「自己収縮」については、水セメント比が小さいため無視することができる。
- (4) 高強度コンクリートを製造・出荷する工場は、高強度の管理に対応できるJIS認可工場であるか、あるいは国土交通大臣の認定(大臣認定)を受けた工場を選定しなければならない。
【正解】
(3)
【解説】
- (1) 正しい: 高強度コンクリートは水が非常に少なく粉体(セメント等)が多いため、ドロドロとした高い粘性を持ちます。そのため、コンクリートポンプで送る際の抵抗(管内圧力損失)が普通コンクリートの数倍になることがあり、圧送計画では高性能なポンプや耐圧配管の選定が必要です。
- (2) 正しい: 通常のマスコンクリートは「部材が厚いもの(おおむね 80〜100 cm 以上)」が対象ですが、高強度コンクリートは単位セメント量が非常に多いため、部材寸法が 50 cm 程度と薄くても内部温度が急激に上昇します。そのため、薄い部材でもマスコンクリートに準じた温度管理が求められます。
- (3) 誤り(これが正解): 非常に重要な引っ掛けポイントです。水セメント比が小さい(目安として 35% 以下)コンクリートでは、セメントの水和反応が進む際、外部からの水分補給がないと内部の水分が枯渇し、コンクリート自体が自ら縮む「自己収縮(自生収縮)」という現象が激しく発生します。高強度コンクリートにおいて自己収縮は無視するどころか、最大のひび割れ原因の1つとなるため、膨張材の混入などの抑制対策が必須となります。
- (4) 正しい: 一般的なJIS工場で製造できる強度には上限(JIS A 5308 では標準で高強度でも 呼び強度60 などまで)があります。それを超えるような超高強度コンクリート(大臣認定コンクリート)を使用する場合は、製造工場の選定や製造実績の確認が厳格に定められています。
要点チェック(高強度コンクリートの特性):
- 粘性が高い: ポンプで送りにくい(圧送圧が高くなる)。
- 発熱が大きい: 薄い部材でもマスコンクリート扱い。
- 水セメント比が小さい: ブリーディングがほとんど出ないためプラスチック収縮ひび割れが起きやすく、硬化後は内部乾燥による自己収縮(自生収縮)が極めて大きい。
「水が少ないから乾燥収縮(外部への蒸発による収縮)は小さいが、身内の水不足で縮む自己収縮は非常に大きい」という特性の対比は、択一・記述ともに頻出です。しっかり整理しておきましょう。