コンクリート主任技士の試験対策として、今回は「施工・劣化」の分野から、実務の打継ぎ計画や補修工法で極めて重要であり、試験でも高確率で出題される「新旧コンクリートの付着(打ち継ぎ目)と表面処理」に関する問題をお届けします。
一体化された堅牢な構造物を造るための、打継ぎ面の適切な処理方法は記述・択一ともに必須の知識です。
【問題】コンクリートの打継ぎ(施工継目)の処理に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- (1) 先に打ち込まれたコンクリートの硬化後、新旧コンクリートの一体化を図るためには、打継ぎ面のレイタンスや脆弱なコンクリート層を完全に取り除き、粗骨材を露出させる処理(チッピングや高圧洗浄など)を行うことが有効である。
- (2) 新たにコンクリートを打ち継ぐ直前の旧コンクリートの接合面は、乾燥収縮によるひび割れを防ぐため、完全に乾燥させた「絶対乾燥状態(絶乾状態)」に保っておかなければならない。
- (3) 鉛直方向の打継ぎ(垂直継目)を設ける場合、型枠の締付けや振動機の掛け方によって打継ぎ面が緩みやすいため、旧コンクリートの端部をあらかじめ粗に仕上げておくか、適切な継目板などを用いて密着性を高める。
- (4) 水平な打継ぎ面において、旧コンクリートの表面にレイタンスが残ったまま新しいコンクリートを打ち重ねると、その境界部分の付着強度が著しく低下し、将来的な水密性の低下やせん断強度の不足を招く。
【正解】
(2)
【解説】
- (1) 正しい: 打継ぎ処理(チッピングなど)に関する正しい記述です。最表面の弱い部分(レイタンス等)をハツり取って骨材を露出させ、表面を凸凹にすることで、新旧コンクリートが「アンカー効果」により強力に付着します。
- (2) 誤り(これが正解): 非常に重要な実務・試験のポイントです。旧コンクリートの接合面がカラカラに乾燥していると、新しく打ち込まれたフレッシュコンクリート中の必要な水分(セメントの水和反応に必要な水)を古いコンクリートが吸い取ってしまいます。 これにより境界部の新コンクリートが水分不足になり(ドライアウト現象)、十分な強度が出ず付着力が激減します。そのため、打継ぎ直前は「吸水が飽和した湿潤状態(ただし表面に水たまりがない状態)」にしておくのが鉄則です。
- (3) 正しい: 垂直方向の打継ぎにおける施工上の注意点です。水平方向に比べてコンクリートの自重による密着が期待できないため、より入念な締固めや、打継ぎ面の処理(凹凸の形成やキズの付与)が必要になります。
- (4) 正しい: レイタンスが及ぼす悪影響の記述です。前回の問題でも触れた「レイタンス(脆弱な微粉末の層)」が新旧の間に挟まると、境界が完全に「剥離した目地」のようになってしまいます。
要点チェック(打継ぎの黄金ルール):
- 打継ぎ面は「濡らす」が「水は溜めない」: 旧コンクリート面は事前に十分に散水して湿らせておきますが、水たまり(遊離水)がある状態で打ち重ねると、今度は水セメント比が上がって脆弱になるため、打設直前に水たまりは綺麗に拭き取る・飛ばす必要があります。
- レイタンスは天敵: 必ずワイヤーブラシや高圧洗浄(ウォータージェット)、チッピングで削り落とす。
「絶乾状態にする」という選択肢は、乾燥収縮のイメージと混同しやすいため、試験での非常によくある引っ掛けパターンです。「新しいコンクリートの水を守るために湿らせておく」と覚えておきましょう。