問題(高流動)

コンクリート主任技士の試験対策として、定期配信の本日は「施工・各種コンクリート」および「試験・検査」の分野から、過密配筋部や省力化施工で不可欠となり、択一式・小論文(記述式)ともに頻出の最重要テーマである「自己充填コンクリート(高流動コンクリート)の配合タイプ・流動性評価試験(スランプフロー・Vロート・U形充填試験)」に関する問題をお届けします。

材料分離抵抗性を確保する配合メカニズム(粉体系・増粘剤系・併用系)と、フレッシュ性状を評価するレオロジー特性(降伏値と塑性粘度)の試験評価方法は確実にマスターしておきましょう。

【問題】自己充填コンクリート(高流動コンクリート)の材料、配合および品質試験に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • (1) 高流動コンクリートは、フレッシュコンクリートの「高流動性(変形性)」と「材料分離抵抗性」を両立させることで、棒状バイブレータ等による締固めを行わなくても、自重のみで過密配筋や型枠の隅々まで充填できるコンクリートである。
  • (2) 高流動コンクリートの材料分離抵抗性を高める手法のうち「粉体系」は、石灰石微粉末やフライアッシュ、高炉スラグ微粉末などの粉体を多量に使用してペーストの粘性を高め、粗骨材の沈降やブリーディングを抑制する。
  • (3) スランプフロー試験において測定される「500mm到達時間(T500)」や「V形漏斗(Vロート)流下時間」は、コンクリートの降伏値(変形のしやすさ)を評価する指標であり、これらの時間が長いほど塑性粘度が低くサラサラしていることを示す。
  • (4) 障害物通過性および自己充填性を評価する「U形充填試験(JSCE-F 511)」は、仕切板を開放した際にコンクリートが障害鉄筋を通過して自重で上昇した充填高さ(h₂)を測定する試験であり、土木学会では部材の配筋条件に応じてランク1〜ランク3の自己充填性ランクを設定している。

【正解】

(3)

【解説】

  • (1) 正しい:自己充填コンクリート(高流動コンクリート)の定義に関する正しい記述です。「降伏値を極力小さくして流動性を確保する」と同時に「適度な塑性粘度を持たせて骨材分離を防ぐ」という2つの相反する性能を高度にバランスさせています。
  • (2) 正しい: 高流動コンクリートの分類(粉体系)に関する正しい記述です。
    • 粉体系: 粉体量(セメント+微粉末)を 500 ~ 600 kg/㎥ 程度と多くしてペースト粘性を確保。
    • 増粘剤系: セルロース系やアクリル系などの水溶性高分子(増粘剤)を添加して粘性を確保。
    • 併用系: 粉体量の適度な増量と増粘剤を組み合わせて品質の安定化を図る。
  • (3) 誤り(これが正解): レオロジー定数(降伏値と塑性粘度)の試験評価に関する超重要・頻出の引っ掛け問題です。
    • 降伏値(変形を開始する限界応力): 「スランプフロー値(広がりの直径)」と対応し、スランプフロー値が大きいほど降伏値が小さい(流動性が高い)ことを示します。
    • 塑性粘度(変形速度に対する抵抗・ネバネバ感): 「500mm到達時間(T500)」や「V形漏斗流下時間」と対応し、これらの時間が長いほど「塑性粘度が高い(粘り気が強くゆっくり流れる)」ことを示します。記述では「降伏値を評価する」「時間が長いほど塑性粘度が低い」としており、物理的意味と対応関係が二重に誤っています。
  • (4) 正しい:U形充填試験と自己充填性ランクに関する正しい記述です。U字形の容器の中央に規定の間隔(障害なし・鉄筋間隔 35mm・50mm など)の障害鉄筋を配置し、反対側の槽に上がってきた高さ(充填高 $h_2 \ge 300\text{ mm}$ 等)で充填性を評価します。
    • ランク1: 最小鉄筋あき 35 ~60 mm 程度の極めて過密な断面に適用。
    • ランク2: 一般の鉄筋コンクリート構造物(鉄筋あき 60~ 200 mm 程度)に適用。
    • ランク3: 無筋または鉄筋間隔が 200 mm 以上の断面に適用。

要点チェック(高流動コンクリートの試験とレオロジー):

  • スランプフロー(外径):降伏値の指標(標準:600 ~ 700 mm) ➔ 大きいほど降伏値が小さい(よく広がる)。
  • 500mm到達時間 / Vロート流下時間:塑性粘度の指標 ➔ 時間が「長い」ほど粘性が「高い」。
  • U形充填試験:間隙通過性・自己充填性の指標 ➔ 充填高さ h₂ ≥ 300 mm で判定。
  • 施工上の原則: 振動締固めは原則行わない(過剰振動は骨材沈降・材料分離を招く)。

「スランプフローの大きさ=広がる力(降伏値)」「流れる秒数の長さ=粘り気(塑性粘度)」と整理しておくと、試験方法の組み合わせ問題でも即答できるようになります。

本日も一日、ご安全に!合格に向けて一歩ずつ着実に進めていきましょう。

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