コンクリート主任技士の試験対策として、定期配信の本日は「設計・構造」の分野から、午後択一の計算問題で毎年確実に出題され、得点源にしたい「曲げ部材の限界状態設計法における曲げ終局強度(破壊モードと破壊荷重)」に関する問題をお届けします。
許容応力度設計法(弾性理論)と限界状態設計法(終局強度)の違いや、鉄筋が降伏して破壊に至る「曲げ引張破壊」のメカニズムは絶対にマスターしておきましょう。
【問題】鉄筋コンクリート曲げ部材の終局限界状態における破壊挙動および曲げ耐力(曲げ終局強度)に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- (1) 鉄筋量が適度な「引張破壊型(延性破壊)」の曲げ部材では、荷重を増やしていくと先に引張鉄筋が降伏(降伏点に達)し、その後コンクリートの圧縮側が極限ひずみに達して曲げ破壊に至る。
- (2) 鉄筋量が極めて多い「過充填(過補強)部材」では、引張鉄筋が降伏する前に圧縮側コンクリートが突然打ち砕かれて破壊する「せん断型・脆性破壊」を起こしやすいため、設計上避けるべきである。
- (3) 限界状態設計法において曲げ耐力を算出する際、圧縮側コンクリートの複雑な応力分布を計算しやすくするため、等価な長方形応力ブロック(等価応力ブロック)に置き換えて計算することが認められている。
- (4) 引張鉄筋比が同一である場合、使用する鉄筋の降伏点(fyd)が高い高強度鉄筋を使用するほど、部材の曲げ終局耐力(曲げモーメント)は低下する。
【正解】
(4)
【解説】
- (1) 正しい: 引張破壊(延性破壊)の破壊プロセスに関する正しい記述です。一般的なRC梁の設計では、急激な破壊を防ぐために、まず鉄筋が降伏して変形(たわみ)が大きくなる兆候を見せてから破壊に至るこのメカニズムを採用します。
- (2) 正しい: 圧縮破壊(脆性破壊)に関する正しい記述です。鉄筋を入れすぎると、鉄筋が伸びる前にコンクリートが耐えきれなくなって突然脆性的に破壊します。構造設計上、このような過補強(平衡鉄筋比を超える配置)は厳禁とされています。
- (3) 正しい: 等価応力ブロック(等価矩形応力分布)に関する正しい記述です。終局時のコンクリートの圧縮応力分布は放物線状になりますが、実務計算では高さ a = β1 ・ c、応力 0.85 f’cd の単純な長方形に置換して算出します。
- (4) 誤り(これが正解): 曲げ耐力の基本公式に関する超重要・直感的な引っ掛け問題です。引張破壊型の曲げ終局モーメント(Mu)の概算公式は、以下の通りです。
Mu ≈ As ・ fyd ・ jd(ここで、As: 鉄筋量、fyd: 鉄筋の降伏強度、jd: アームハーフ)式から明らかなように、鉄筋の降伏強度(fyd)が高くなれば、それだけ強い引張力に耐えられるため、部材全体の曲げ終局耐力は「高くなる(増大する)」のが正しい挙動です。「低下する」とした記述が明確な誤りです。
要点チェック(曲げ破壊モードと耐力の計算):
- 理想的な破壊:引張鉄筋が先に降伏 ➔ 延性破壊(安全)
- 避けるべき破壊: 鉄筋の入れすぎ ➔ コンクリートが先に圧壊(脆性破壊)
- 曲げ耐力: 鉄筋量(As)や鉄筋強度(fyd)が上がれば、曲げ耐力(Mu)もアップする!
「強度の高い鉄筋を使えば、当然梁も強くなる」というシンプルな物理的関係を覚えておけば、難しそうな選択肢も迷わず一瞬で見抜くことができます。
本日も一日、ご安全に!合格に向けて着実に実力を積み上げていきましょう。