コンクリート主任技士の試験対策として、今朝は「設計・構造」および「特殊コンクリート」の分野から、午後択一の計算・理論問題や実務の長大橋梁・プレキャスト部材で頻出となる「プレストレストコンクリート(PC構造)の原理・工法(プレテンション方式 vs ポストテンション方式)とプレストレスの損失」に関する問題をお届けします。
プレテンション方式とポストテンション方式の施工手順の違い、および時間経過に伴ってプレストレスが減少する「プレストレスの損失要因(クリープ・乾燥収縮・リラクセーションなど)」は確実に整理しておきましょう。
【問題】プレストレストコンクリート(PC)の工法およびプレストレスの損失に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- (1) プレテンション方式は、あらかじめPC鋼材を緊張しておき、その周囲にコンクリートを打ち込んで硬化させた後、鋼材の緊張を解放してコンクリートとの「付着力」によってプレストレスを導入する工法であり、主に工場製作のプレキャスト製品に用いられる。
- (2) ポストテンション方式は、コンクリート硬化後にシース(鋼管等)内に配置したPC鋼材を緊張し、部材端部の定着具で固定した後にシース内に「PCグラウト」を注入して鋼材の防食とコンクリートとの一体化を図る工法である。
- (3) ポストテンション方式において緊張材を引っ張る際に生じるプレストレスの損失要因には、「PC鋼材とシースの摩擦」「定着具のセット(すべり)」「コンクリートの弾性変形」などがある。
- (4) プレストレス導入後、長期間の経過に伴って生じるプレストレスの損失(時間依存的損失)には、コンクリートの「乾燥収縮」「クリープ」およびPC鋼材の「リラクセーション(応力弛緩)」があるが、これらの中でPC鋼材のリラクセーションによる損失は時間の経過とともにプレストレスを増大させる作用を持つ。
【正解】
(4)
【解説】
- (1) 正しい:プレテンション方式(Pre-tensioning)の定義と特徴です。 「先に緊張(Pre)」➔「コンクリート打設」➔「硬化後に解放」の手順を踏みます。PC鋼材とコンクリートの付着力のみで圧縮力を伝達するため、定着具が不要で、工場製品(PC枕木や桁など)の大量生産に適しています。
- (2) 正しい: ポストテンション方式(Post-tensioning)の定義と特徴です。「コンクリート打設・硬化」➔「後から緊張(Post)」➔「端部定着具で固定」➔「グラウト注入」の手順を踏みます。曲線配置が自由に行えるため、現場打ちの長大橋梁などに広く用いられます。
出典:中部道路メンテナンスセンター https://www.cbr.mlit.go.jp/chubumc/data/glossary/index.html

- (3) 正しい: プレストレス導入直後に生じる損失(初期損失)に関する正しい記述です。ポストテンション方式では、シース内の摩擦、定着具の噛み込み時のわずかな引き込み(セットロス)、部材が縮むことによる弾性変形によって、導入直後に緊張力が目減りします。
- (4) 誤り(これが正解): リラクセーション(応力弛緩)の物理的定義に関する引っ掛け問題です。
- PC鋼材のリラクセーション: 高張力を与えた鋼材の長さを一定に保ったまま放置すると、時間の経過とともに鋼材内部の応力が徐々に低下(弛緩)していく現象です。
- したがって、コンクリートの「乾燥収縮」「クリープ」と同様に、リラクセーションも「プレストレスを減少(損失)させる」方向に働きます。「プレストレスを増大させる」とした記述は明確な誤りです。
要点チェック(プレストレス損失要因の分類):
- 導入直後に生じる損失(瞬時損失):
- コンクリートの弾性変形
- 定着具のセット(すべり・引き込み)
- PC鋼材とシースの摩擦(ポストテンションのみ)
- 時間経過に伴って生じる損失(長期損失):
- コンクリートのクリープ
- コンクリートの乾燥収縮
- PC鋼材のリラクセーション(応力弛緩 ➔ 応力低下)
「クリープ・乾燥収縮・リラクセーションの3つは、時間が経つにつれてプレストレスをジワジワ減らす長期損失要因」とセットで覚えておきましょう。