今回は、現場施工や配合設計におけるAI・DX活用事例および脱炭素化に伴う化学混和剤の最新開発動向を中心に注目トピックをまとめました。
1. 施工・品質管理におけるAIモニタリング技術の進展
- 概要: 現場打設時の充填状況や打継面の処理状態をAI画像認識によってリアルタイム判定・評価するシステムの実用化が進んでいます。
- 技術的ポイント:
- 充填状況の異常検知: CFT(コンクリート充填鋼管)構造などの施工において、カメラ映像からコンクリートの流動・充填挙動をAIが解析し、未充填や閉塞などの施工異常を即座にアラート通知する仕組みが導入されています(CFT柱のコンクリート充填作業の異常検出をAIが支援 – 鹿島建設)。
- 打継面レイタンス処理の自動判定: ダムや大型構造物において、高圧洗浄後の打継面画像をAIが評価し、レイタンス除去率や骨材露出状況を可視化して品質の均一化を図る取り組みが推進されています(AIを活用したコンクリート打継面評価技術を開発 – 大成建設)。
2. 配合設計および材料データベースへのAI・機械学習の適用
- 概要: 過去の試験練りデータや材料特性をデータベース化し、目標強度・ワーカビリティー(スランプ等)を満たす最適配合をAIで予測・導出する研究およびツール開発が活発化しています。
- 技術的ポイント:
- 学術データのAI基盤化: 日本コンクリート工学会(JCI)を中心に、多種多様な骨材・セメント・混和材料の試験データを構造化し、AIによる配合推定や耐久性予測に耐えうるデータベース整備が進められています(コンクリートのアカデミックデータベースの整理とAIへの活用 – 日本コンクリート工学会)。
- 材料・環境変動への適応: 原材料の物性変動(骨材の微粒分量や表面水率の変動など)や外気温の影響を考慮した配合補正モデルの検証が進んでいます。
3. 低炭素・環境配慮型コンクリートを支える化学混和剤の開発動向
- 概要: 脱炭素(カーボンニュートラル)社会の実現に向け、高炉スラグ微粉末やフライアッシュなどの混合材料を高置換したコンクリートの実用化が進む中、これらを支える高機能減水剤や硬化促進剤の開発が加速しています。
- 技術的ポイント:
- ポリカルボン酸系(PCE)高性能AE減水剤の高度化: セメント分散性だけでなく、初期水和を阻害せずに長期的なスランプ保持性を維持するポリマー構造設計が進展しています(コンクリートの機能を向上させる化学混和剤 —高性能AE減水剤 – 日本コンクリート工学会)。
- 低炭素セメント・混合セメント対応: 産業副産物を多量使用した際の初期強度発現の遅延や粘性増加を抑制するため、専用の硬化促進剤や低粘性型混和剤の適用拡大が進んでいます(CO2削減への取り組み – コンクリート用化学混和剤協会)。
4. インフラ維持管理・点検におけるAIひび割れ自動検出
- 概要: 橋梁やトンネルなどのコンクリート構造物点検において、高解像度カメラやドローン画像からひび割れ・変状を自動抽出するAI診断技術の社会実装が定着しています。
- 技術的ポイント:
- 微細クラックの検出精度向上: 幅0.1mm以下の微細なひび割れや、漏水・遊離石灰が混在する複雑な表面状態でも高精度に検出・CAD化する技術が国土交通省の点検支援技術として広く活用されています(社会インフラ画像診断サービス ひびわれ検出AI ひびみっけ – 富士フイルム)。