コンクリート主任技士の試験対策として、定期配信の本日は「施工・各種コンクリート」の分野から、大規模構造物や橋脚・ダム等の施工管理で必須となり、択一試験・記述式論文(熱ひび割れ対策)のどちらでも最重要テーマとなる「マスコンクリートの温度ひび割れ(水和熱・温度応力)」に関する問題をお届けします。
セメントの水和熱に起因する「内部拘束」と「外部拘束」の発生メカニズムの違い、および温度ひび割れ指数(Icr)の評価ロジックは確実にマスターしておきましょう。
【問題】マスコンクリートの温度ひび割れおよびその対策に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- (1) 部材寸法が大きいマスコンクリートにおいて、打込み初期(水和熱の上昇期)に生じる「内部拘束」による温度応力は、部材の中心部が高温膨張しようとするのを表面部が冷却収縮して拘束するために発生し、部材表面に引張応力が生じる。
- (2) コンクリートの温度がピークを過ぎて降下する段階で生じる「外部拘束(基盤拘束)」による温度応力は、コンクリート全体の温度降下に伴う収縮が岩盤や既設コンクリート等の下部構造によって拘束されることで発生し、部材断面全体にほぼ一様な引張応力が生じる。
- (3) 温度ひび割れの発生可能性を評価する「温度ひび割れ指数(Icr)」は、コンクリートの「引張強度(ftk(t))」を「温度応力(σmax(t))」で除した値(ftk / σmax)であり、この値が小さいほどひび割れが発生しにくい。
- (4) 水和熱による温度上昇を抑えるための材料・配合上の対策として、中庸熱セメントや低熱セメント、あるいは高炉セメントB種などの「低発熱型セメント」を使用することや、単位セメント量を極力減らすことが有効である。
【正解】
(3)
【解説】
- (1) 正しい:内部拘束のメカニズムに関する正しい記述です。
- 部材中心部:水和熱で非常に高熱になり「膨張」したい。
- 部材表面部:外気に接して冷やされ「収縮」しようとする。この結果、表面部が中心部の膨張に引っ張られるため、表面部に「引張応力」が発生し、表面近くにひび割れが生じます。
- (2) 正しい: 外部拘束(基盤拘束)のメカニズムに関する正しい記述です。コンクリート全体が冷えて縮もうとする際、下に固い岩盤や既設コンクリートがあると移動が制限(拘束)されます。これにより、断面全体に引っ張り力が働き、部材を貫通するような大きな「貫通ひび割れ」を生じさせます。
- (3) 誤り(これが正解): 温度ひび割れ指数(Icr)の定義と数値の解釈に関する超重要・頻出の引っ掛け問題です。
温度ひび割れ指数 Icr = コンクリートの引張強度 ftk(t)/発生する温度応力 σmax(t)- 定義の通り「引張強度 / 温度応力」で算出されます。
- 分母が「発生する応力(破壊しようとする力)」、分子が「抵抗する強度(耐える力)」なので、指数(Icr)の値が「大きいほど」ひび割れが発生しにくい(安全である)ことを意味します。
- 一般に、ひび割れ発生を「防止する」レベルでは Icr ≥ 1.5 以上、「制限する」レベルでは 1.2 ~ 1.5程度を目安とします。記述では「小さいほど発生しにくい」としているため、明確な誤りです。
- (4) 正しい: マスコンクリートの配合的対策です。発熱速度が遅いセメント(中庸熱・低熱・高炉B種・フライアッシュB種など)の選定や、単位水量を減らして単位セメント量を小さく抑えることが有効です。
要点チェック(マスコンのひび割れメカニズムと指数):
- 内部拘束: 打込み直後(加熱期) ➔ 中心部の膨張 vs 表面の収縮 ➔ 表面に「表面ひび割れ」
- 外部拘束: ピーク後(冷却期) ➔ コンクリート全体の収縮 vs 基盤の拘束 ➔ 断面全体に「貫通ひび割れ」
- 温度ひび割れ指数:Icr = 引張強度/温度応力 ➔ 数値が「大きい」ほど安全(ひび割れにくい)
「温度ひび割れ指数 = 強度 ÷ 応力(安全率のようなもの)」と理解しておけば、「数値が大きいほど安全=ひび割れが出にくい」という判断が一瞬でできます。