コンクリート主任技士の試験対策として、今朝は「試験・検査・品質管理」の分野から、午後択一の計算・理論問題の定番であり、現場での非破壊試験としても極めて重要な「コンクリートの非破壊試験(超音波伝ぱ速度法・シュミットハンマー法)」に関する問題をお届けします。
構造物を壊さずに強度や内部の欠陥(ひび割れ深さ等)を推定する手法の原理と特徴は、択一式だけでなく記述式(診断・補修)でも必須知識です。
【問題】コンクリートの非破壊試験による強度推定および欠陥探査に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- (1) 反発度法(シュミットハンマー法)は、コンクリート表面の打撃による反発度から圧縮強度を推定する手法であり、表面が乾燥している場合に比べて、表面が「湿潤状態」にあるコンクリートでは反発度が低く(強度が小さく)測定される傾向がある。
- (2) 反発度法において、コンクリートの「中性化」が進行している部分は、内部の健全部に比べて表面の硬度が著しく低下しているため、反発度は低く(強度が小さく)測定される。
- (3) 超音波伝ぱ速度法は、コンクリート内部を伝わる超音波の速度(Vp)を測定する手法であり、一般にコンクリートが緻密で圧縮強度が高いほど、伝ぱ速度は速くなる。
- (4) 超音波伝ぱ速度法を用いてコンクリート表面のひび割れ深さを推定する場合、ひび割れを挟んで送信子と受信子を配置し、ひび割れ先端を回折して届く音波の伝ぱ時間の変化から算出する(T-R法など)。
【正解】
(2)
【解説】
- (1) 正しい: シュミットハンマー(反発度法)の水分による影響です。コンクリート表面が濡れている(湿潤状態)と、打撃時の水分のクッション効果等により、表面の反発度が低く(見かけの推定強度が小さく)出ます。そのため、評価にあたっては水分状態に応じた補正を行います。
- (2) 誤り(これが正解): 超重要かつ過去問で何度も問われている引っ掛けポイントです。中性化が進行したコンクリート表面では、水酸化カルシウムが二酸化炭素と反応して「炭酸カルシウム(CaCO₃)」に変化しています。炭酸カルシウムは組織が硬質であるため、表面の硬度(反発度)は実際よりも「高く(硬く)」測定されてしまいます。その結果、中性化部分をそのまま測定すると「強度を過大評価(実際より強く見積もってしまう)」ことになります。したがって、「反発度が低く測定される」とした記述が誤りです。
- (3) 正しい: 超音波伝ぱ速度法の基本原理です。空隙が少なく緻密な(=強度が高い)コンクリートほど超音波はスムーズに伝わるため、伝ぱ速度は速くなります(普通コンクリートで3,500~4,500m/s程度)。逆に内部に欠陥やジャンカ、ひび割れがあると速度は低下します。
- (4) 正しい: ひび割れ深さ測定の原理です。超音波は空気を伝わりにくいため、ひび割れの存在によって「迂回ルート(ひび割れの底を通るルート)」を通ることになり、到達時間が遅れます。この遅れ時間から幾何学的にひび割れの深さを計算します。
要点チェック(シュミットハンマー法の補正要因):
- 中性化進行部: 表面が硬くなるため、反発度が高く出る ➔ 強度を「過大評価」するリスクあり(中性化深さに応じた減算補正が必要)。
- 表面が湿潤状態: 反発度が低く出る ➔ 強度を「過小評価」するリスクあり。
- 測定方向: 水平打ちを基準(1.0)とし、上向き打撃(天井など)はプラス補正、下向き打撃(床など)はマイナス補正を行う。
「中性化=炭酸カルシウム化=表面が硬くなる=反発度が上がる(過大評価)」という因果関係のロジックは、試験で非常に引っかかりやすいポイントです。物理現象の背景とセットで覚えておきましょう。