おはようございます。今週のコンクリート工学および化学混和剤に関する最新技術動向レポートをお届けします。
今週は、建設用3Dプリンティングにおけるレオロジー制御・混和剤技術、生コンプラントでの骨材画像認識AI、ひび割れ防止の要となる乾燥収縮低減剤(SRA)の最新知見、そして輸送・配車の最適化DXを中心にまとめました。
1. 建設用3Dプリンティング(3DCP)を支えるレオロジー制御と混和剤技術
- 概要: 型枠を用いずに積層造形を行う建設用3Dプリンティングにおいて、ポンプ圧送時の流動性とノズル吐出直後の自立性(積層性・保形性)を両立させる材料設計・レオロジー制御技術の研究が進んでいます。
- 技術的ポイント:
- チクソトロピー性と凝結速度の制御: ポンピング時には低い粘性を保ち、吐出直後には瞬時に降伏応力を高めるため、ポリカルボン酸系(PCE)高性能減水剤、セルロース系等の増粘剤(分離低減剤)、およびノズル部での急結・硬化促進剤インライン添加技術が実用化されています(3Dプリンティングに適した短繊維補強モルタルの配合および押出性 – 日本コンクリート工学会)。
- 環境配慮型材料への適用: 高炉スラグ微粉末やフライアッシュを多量混合した低炭素セメント系材料に対し、混和剤の添加比率を微調整して最適な可使時間(オープンタイム)と積層強度を確保する試みが進展しています(国内初 建設用3Dプリンティングに適用可能な環境配慮コンクリート – 大成建設)。
2. 画像認識AIを活用した骨材受入れ・品質判別システム
- 概要: 生コンクリートのワーカビリティーや強度発現に直結する骨材性状(粒度・粒径・異物混入)について、目視や抜き取りふるい分け試験を代替・支援する画像認識AIの導入が進んでいます。
- 技術的ポイント:
- 3次元画像処理による粒径判別: ステレオカメラとディープラーニングを用いてダンプ荷卸し時の骨材を撮影し、骨材粒径や粒度分布を瞬時に解析して規格外品の混入を自動検知する技術が実用化されています(コンクリート骨材のAI入荷管理システムを開発 – 熊谷組)。
- 骨材誤投入防止AI: プラントの受入れホッパー上部にカメラを設置し、砂・砂利・砕石の種別や混入異物をリアルタイムに自動判定して別ビンへの誤投入事故を防止するシステムが展開されています(骨材判別AIを日工が開発 – AIsmiley)。
3. 乾燥収縮低減剤(SRA)および保水型混和剤によるひび割れ抑制
- 概要: 硬化体コンクリートの耐久性を低下させる乾燥収縮ひび割れに対し、微視的な毛細管張力低減や水分逸散抑制を狙った化学混和剤の適用基準と複合技術が定着しています。
- 技術的ポイント:
- 作用メカニズムと性能向上: グリコールエーテル誘導体等の界面活性作用により空隙水の表面張力を低下させて乾燥収縮を抑制する従来型に加え、特殊ポリオキシアルキレングリコール系などの保水型収縮低減剤により、空気連行性や耐凍害性への悪影響を抑えた製品開発が進んでいます(収縮低減剤・化学混和剤などによるコンクリートの乾燥収縮抑制 – 日本コンクリート工学会、乾燥収縮低減剤(アクアガード®TD-200) – 日本触媒)。
- 膨張材との併用シナジー: 石灰系・エトリンガイト系の膨張材と収縮低減剤を併用することで、初期の膨張補償と長期の乾燥収縮低減を両立させる低収縮・無収縮コンクリートの実務適用が広がっています。
4. 生コン輸送DXと可使時間・スランプロス管理
- 概要: JISで定められた練混ぜから荷卸しまでの運搬時間制限(標準1.5時間以内)の厳守と、走行中のスランプロス・材料分離を防ぐため、運行管理と配車の最適化システムが普及しています。
- 技術的ポイント:
- GPS動態管理と出荷タイミング連動: アジテータ車の位置情報、現場待機時間、道路渋滞情報をリアルタイムに収集・可視化し、現場の打設ピッチに合わせた最適出荷タイミングを自動算出(GPSを活用した生コン配車システム スカイワンⅡ – パシフィックシステム)。
- ミキサー車マッチングと共同配車: 複数プラント間や協力会社間での車両稼働状況をクラウド共有し、運送の効率化と過剰待機によるスランプロス発生を抑制する取り組みが進んでいます(生コンミキサー車マッチングサービスの実証実験 – ゆめみ)。