コンクリート主任技士の試験対策として、今回は「環境・耐久性」の分野から、近年の試験で非常に出題頻度が高く、かつ実務でも対策が必須となっている「アルカリシリカ反応(ASR)の抑制対策」に関する問題をお届けします。
ASRの発生メカニズムと、それを防ぐための3つの抑制対策(セメント、骨材、アルカリ総量)は、択一式だけでなく記述式(論文)でも完璧にマスターしておくべき超重要テーマです。
【問題】コンクリートのアルカリシリカ反応(ASR)とその抑制対策に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- (1) アルカリシリカ反応とは、骨材中の反応性シリカ鉱物と、コンクリートの細孔溶液中のアルカリ金属イオン(Na+やK+)が化学反応を起こして異常膨張し、コンクリートに亀甲状のひび割れなどを発生させる現象である。
- (2) ASR抑制対策の一つとしてセメントを選定する場合、高炉セメントB種やフライアッシュセメントB種などの混合セメントを使用することは、普通ポルトランドセメントを使用する場合に比べて反応を促進するため不適当である。
- (3) コンクリート中のアルカリ総量規制による抑制基準では、原則としてコンクリート 1㎥中に含まれる総アルカリ量をNa₂O換算で 3.0 kg 以下にしなければならない。
- (4) 骨材のアルカリ反応性試験方法には、化学法(JIS A 1145)とモルタルバー法(JIS A 1146)があり、これらによって「無害」と判定された骨材を使用することは、ASRの有効な抑制判定対策(区分A)となる。
【正解】
(2)
【解説】
- (1) 正しい: アルカリシリカ反応(ASR)の定義に関する正しい記述です。反応によって生成された「アルカリシリカゲル」が周囲の水分を吸って膨張し、コンクリートを内側から破壊します。拘束がない場合は「亀甲状(網目状)」、鉄筋による拘束が強い場合は「鉄筋方向に沿った」ひび割れが発生するのが特徴です。
- (2) 誤り(これが正解): 超頻出の重要ポイントです。高炉セメントB種やフライアッシュセメントB種を使用することは、ASRの代表的かつ極めて有効な「抑制対策」です(セメントによる対策:区分C)。混合材(スラグやフライアッシュ)がアルカリを取り込んで緻密な組織を形成し、反応性骨材へアルカリが供給されるのを防ぐため、反応を強力に抑制します。「不適当」とした記述は完全に誤りです。
- (3) 正しい: アルカリ総量規制に関する正しい数値です。コンクリート 1 $\text{m}^3$ あたりの総アルカリ量を 3.0 kg 以下に抑えることで、ASRの発生を抑制します(アルカリ総量による対策:区分B)。この「3.0 kg」という数値は絶対に暗記してください。
- (4) 正しい: 骨材による対策(区分A)に関する正しい記述です。試験によって「無害」と判定された骨材(安全な骨材)を使用すれば、ASRは発生しません。
要点チェック(ASRの3大抑制対策):
ASRを防ぐには、以下のいずれか1つを確実に満たす設計・施工を行います。
- 対策A(骨材): 反応性試験で**「無害」**と確認された骨材を使う。
- 対策B(アルカリ量): コンクリート中の総アルカリ量を 3.0 kg/m³ 以下にする。
- 対策C(セメント): 高炉セメントB種またはフライアッシュセメントB種を使う。
小論文で「ASRのメカニズムと抑制対策」を問われた際、この「A・B・Cの3つのアプローチ」を箇条書きで数値(3.0 kg/m³)やセメント名(B種)と共に具体的に書けると、それだけで高得点が狙えます。