コンクリート主任技士の試験対策として、今回は「施工・環境」の分野から、実際の現場でもひび割れ抑制のために非常によく使われ、試験でも毎年必ずと言っていいほど出題される「膨張材および膨張コンクリート」に関する問題をお届けします。
膨張材のメカニズムや、使用する際のカギとなる「拘束」の概念は、択一式だけでなく記述式(論文)でも極めて重要なテーマです。
【問題】膨張コンクリートの性質および施工に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- (1) 膨張コンクリートは、硬化初期に生じる化学的な膨張力を利用して、その後の乾燥収縮や温度降下による引張応力を相殺(相殺または緩和)し、ひび割れを抑制するものである。
- (2) 膨張材の膨張メカニズムは、主にエトリンガイト(カルシウムサルホアルミネート系)または水酸化カルシウム(石灰系)の結晶が生成・成長する際の体積膨張を利用している。
- (3) コンクリートに膨張材を混入すれば、鉄筋による拘束が全くない無筋の構造物であっても、コンクリート内部に強固な化学的プレストレス(圧縮応力)が導入され、ひび割れ抵抗性が著しく向上する。
- (4) 膨張コンクリートの膨張性能を十分に発揮させるためには、打込み後の初期材齢における湿潤養生が極めて重要であり、散水などによって十分な水分を供給する必要がある。
【正解】
(3)
【解説】
- (1) 正しい: 膨張コンクリート(収縮補償用)の基本的な仕組みです。コンクリートは通常、乾燥すると縮んでひび割れますが、あらかじめ最初に少し「膨らませて」おくことで、後から「縮んだ」ときにちょうど±ゼロ(または引張応力を下回る状態)になるようにコントロールします。
- (2) 正しい: 市販されている膨張材の主成分に関する正しい記述です。JIS A 6202(コンクリート用膨張材)では、エトリンガイト系(硫黄を含んだ鉱物)と石灰系(水と反応して水酸化カルシウムになる)の2種類が規定されています。
- (3) 誤り(これが正解): 超重要かつ頻出の引っ掛けポイントです。膨張コンクリートでひび割れを防ぐ(化学的プレストレスを導入する)ためには、「鉄筋などによる外部からの拘束」が絶対に必要です。もし鉄筋が一本もない無筋の状態でコンクリートが膨張すると、ただ全体がそのまま外側に大きく膨らむだけで、内部に押し合う力(圧縮応力)が残りません。鉄筋が周囲をギュッと締め付けて(拘束して)いるからこそ、コンクリートが膨らもうとしたときに内部に心地よい「突っ張り合い(圧縮応力)」が生まれ、これが後の引き裂き力(引張応力)に対抗するバリアになります。
- (4) 正しい: 膨張材がエトリンガイトや水酸化カルシウムの結晶を形成するためには、大量の「水」が必要になります(水和反応)。そのため、打設後にカラカラに乾燥させてしまうと膨張材が全く働かなくなるため、十分な湿潤養生(散水や養生マットなど)が必須となります。
要点チェック(膨張コンクリートの原則):
- 「拘束(鉄筋)」がなければただの膨張。 鉄筋とセットになって初めて化学的プレストレス(圧縮力)が生まれる。
- 反応には水が命。湿潤養生の徹底が不可欠。
- 用途の使い分け: ひび割れを減らすための「収縮補償用」と、より強く拘束して部材を一体化させる「ケミカルプレストレス用」の2つがあり、膨張材の添加量が異なります。
「無筋でも効果がある」という選択肢は試験で非常によく使われる定番の誤りです。「膨張材には鉄筋(拘束)と水(養生)がセット」と、実務のイメージと結びつけて覚えておきましょう!
今日も1日、安全第一で頑張っていきましょう!