問題(硬化)

硬化コンクリートの力学的性質およびその試験方法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)において、供試体の直径が同一の場合、直径に対する高さの比(h/d)が小さくなるほど、載荷板による端面拘束効果の影響が大きくなり、測定される圧縮強度の試験値は大きくなる。
  2. JIS A 1106(コンクリートの曲げ強度試験方法)に規定される3等分点載荷による曲げ強度試験では、中央点載荷による試験に比べて、スパン中央の等曲げモーメント区間内の最も脆弱な断面で破壊するため、測定される曲げ強度の試験値は小さくなる傾向がある。
  3. JIS A 1149(コンクリートの静弾性係数試験方法)に規定される静弾性係数(割線弾性係数)は、圧縮試験における最大荷重時の応力を最大荷重時の縦ひずみで除して求められ、一般に動弾性係数よりも大きな値を示す。
  4. JIS A 1113(コンクリートの割裂引張強度試験方法)により求められる割裂引張強度は、円柱供試体の直径および長さの積に円周率を乗じた値で最大破壊荷重の2倍を除して算出され、一般に普通コンクリートの引張強度は圧縮強度の 1/10 〜 1/13 程度である。

【正解と解説】

正解:3

  • 選択肢1:適当
    一軸圧縮試験において、供試体と載荷板の接触面には摩擦による拘束力(はらみ変形を拘束する力)が働きます。供試体の高さと直径の比(h/d)が小さくなる(扁平になる)ほど、この端面拘束効果が供試体全体に及ぶため、見掛けの圧縮強度は大きくなります。標準供試体(h/d = 2.0)より低いコア供試体等を試験する場合は、JIS A 1107 に基づく補正係数(1.0未満)を乗じて換算します。
  • 選択肢2:適当
    中央点載荷では最大曲げモーメントが中央の1断面のみに作用するのに対し、3等分点載荷では2つの載荷点間の全区間に一定の最大曲げモーメントが作用します。この区間内で最も強度の低い(欠陥のある)断面で破壊が生じるため、同一コンクリートであっても3等分点載荷の試験値は中央点載荷よりも小さくなります。
  • 選択肢3:不適当
    JIS A 1149 における静弾性係数(割線弾性係数 Eⅽ)は、縦ひずみ 50 × 10⁻⁶ の応力点と、最大荷重(圧縮強度)の 1/3 の応力点とを結ぶ割線の勾配として算出されます(最大荷重時の応力とひずみの比ではありません)。また、共鳴振動や超音波伝播速度から求める動弾性係数は、微小応力下の初期接線勾配に近いため、静弾性係数よりも一般に 10 ~ 40% 程度大きな値を示します。
  • 選択肢4:適当
    割裂引張強度 Ft は、円柱供試体の直径 d、長さ l、最大荷重 P より、理論式 Ft = 2P/πdl によって算出されます。普通コンクリートの引張強度は圧縮強度の概ね 1/10 〜 1/13 程度であり、高強度コンクリートになるほどこの比率は小さくなります。

💡 本日の重要チェックポイント

  • コンクリートの各種強度の目安(圧縮強度 Fc を基準)
    • 引張強度:Ft ≒ (1/10 ~ 1/13) × Fc
    • 曲げ強度:Fb ≒ (1/5 ~ 1/8) × Fc
    • せん断強度:Fs ≒ (1/4 ~ 1/6) × Fc(モールの応力円より Fs = √Fc・ Ft/2)
  • 強度試験値に影響を及ぼす要因
    • 載荷速度:速いほど見掛けの強度は大きくなる(JIS規格値:0.6 ± 0.4Nmm²・ s)。
    • 供試体寸法:寸法が大きいほど内部欠陥の確率が増すため強度は小さくなる(寸法効果)。
    • 試験時の含水状態:表面が乾燥している方が湿潤時より見掛けの圧縮強度は大きくなる。

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