問題(骨材)

コンクリート用骨材に含まれる不純物や有害鉱物、およびそれらがコンクリートの品質や耐久性に及ぼす影響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 細骨材に含まれる有機不純物は、フミン酸やタンニン酸などの有機酸を含み、セメント水和によって生成する水酸化カルシウムと化合してセメントの水和反応を阻害し、凝結遅延や初期強度の著しい低下を引き起こす。
  2. 砕砂に含まれる微粒分(75μm ふるい通過分)は、粘土やシルトなどの泥分とは異なり母岩を破砕した石粉が主体であるため、適度な量であれば材料分離抵抗性やワーカビリティーの改善に寄与することから、JIS A 5005 における微粒分量の限度値は天然砂(JIS A 5308 附属書JA)よりも大きく設定されている。
  3. 骨材中に含まれるモンモリロナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物は、結晶層間に多量の水分を取り込んで著しく膨潤する性質をもち、硬化後のひび割れやポップアウトを引き起こすだけでなく、フレッシュコンクリートにおいて急激なスランプロスや異常な流動性低下をもたらす。
  4. 骨材中に含まれる黄鉄鉱(FeS₂)は、大気中の二酸化炭素と反応して炭酸鉄を形成し、コンクリートの中性化を著しく促進させることが主な劣化要因であり、ポップアウトや錆汁の流出などの物理的・美観的損傷を引き起こすことはない。

【正解と解説】

正解:4

  • 選択肢1:適当
    土砂や腐植土が混入した砂に含まれる有機不純物(フミン酸、タンニン酸など)は、セメントの水和反応で溶出する水酸化カルシウム(Ca(OH)₂)と反応して不溶性の有機酸カルシウム皮膜をセメント粒子表面に形成します。これにより、水とセメントの接触が遮断されて水和反応が著しく阻害され、顕著な凝結遅延や強度発現不良、耐久性の低下を招きます(JIS A 1105「細骨材の有機不純物試験方法」により比色判定)。
  • 選択肢2:適当
    骨材の微粒分(75μm 通過分)のうち、粘土やシルト等の泥分は単位水量の増大や乾燥収縮の増大、強度低下などの悪影響を及ぼすため厳しく制限されます。一方、砕砂の微粒分は岩石を乾式・湿式粉砕した石粉であり、適度な粒度・含有量であればペーストの粘性を高めて材料分離を抑制し、ワーカビリティーを改善する効果があります。そのため、JIS A 5005(コンクリート用砕石及び砕砂)では、微粒分量の上限値を砕砂で 9.0% 以下(天然砂はJIS A 5308 附属書JAで原則 3.0~5.0% 以下)と緩和して規定しています。
  • 選択肢3:適当
    モンモリロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物は、層状結晶構造の層間に水分子を取り込んで著しく膨張(膨潤)し、乾燥すると収縮します。練混ぜ時には練混ぜ水を急速に吸着してセメントペーストの自由水を奪うため、急激なスランプロスや練上がりのこわばり(流動性の急低下)を引き起こします。また、硬化後も環境の乾湿に伴う吸水膨張・乾燥収縮によってひび割れやポップアウトの原因となります。
  • 選択肢4:不適当
    黄鉄鉱(パイライト, FeS₂)などの硫化鉱物は、コンクリート中の水分と酸素によって酸化分解し、硫酸(H₂SO₄)と酸化鉄(鉄錆)を生成します。生成した酸化鉄がコンクリート表面に褐色の錆汁(サビ汚れ)を流下させて著しい美観損耗を生じさせるほか、副生した硫酸が周囲のセメント水和物(Ca(OH)₂ 等)と反応して石こうやエトリンガイトを生成し、その結晶体積膨張圧によって骨材周囲のモルタルを破壊してひび割れやポップアウトを発生させます。二酸化炭素との反応で炭酸鉄を形成して中性化を促すわけではありません。

💡 本日の重要チェックポイント

  • アルカリシリカ反応以外の要注意鉱物
    • モンモリロナイト(スメクタイト類):吸水膨潤性が極大。スランプロス・異常凝結、乾湿によるひび割れ・ポップアウト。
    • ローモンタイト(濁沸石):乾湿の繰返しによる脱水・吸水転移で粉状化・崩壊。表面の剥離やポップアウト。
    • 黄鉄鉱(FeS₂):酸化により硫酸と酸化鉄を生成。錆汁流出、硫酸によるエトリンガイト生成膨張・ポップアウト。
    • 含鉄ブルーサイト:空気の侵入に伴う酸化膨張でポップアウト。
    • 遊離石灰(CaO)・遊離マグネシア(MgO):水和膨張(Ca(OH)₂, Mg(OH)₂ 生成)による崩壊。
  • 骨材中の不純物試験(JIS)
    • 有機不純物(JIS A 1105):3% 水酸化ナトリウム溶液上澄み液の色を標準色液と比較。標準色より濃い場合でも、モルタル圧縮強度比が 90% 以上であれば使用可。
    • 微粒分量(JIS A 1103):75μm ふるい通過分。砕砂は石粉のため上限値が 9.0% と緩和。

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