問題(混和材料)

本日は、材料分野の最重要テーマの一つである「混和材料(化学混和剤および鉱物質混和材)の特性と作用機構」に関する問題です。

問題

コンクリート用混和材料(混和剤および混和材)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. ポリカルボン酸系を主成分とする高性能AE減水剤は、セメント粒子表面への吸着による静電反発作用に加え、高分子主鎖から伸びる側鎖による立体反発(立体障害)効果によって、高い分散性能と優れたスランプ保持性能を発揮する。
  2. 収縮低減剤(JIS A 6211)は、硬化体内部の毛細管空隙内に存在する水の表面張力を低下させることにより、水分の逸散に伴って生じる毛細管張力を緩和し、コンクリートの乾燥収縮ひずみだけでなく自己収縮ひずみも低減する効果をもつ。
  3. シリカフューム(JIS A 6207)は、平均粒径が約 0.1μm の非晶質二酸化ケイ素(SiO₂)の超微粉末であり、マイクロフィラー効果とポゾラン反応により硬化体組織を緻密化して超高強度を発現させるが、水結合材比の小さい領域では自己収縮ひずみが著しく大きくなる。
  4. フライアッシュ(JIS A 6201)は、ガラス質に含まれる可溶性シリカがセメントの水和で生成される水酸化カルシウムとポゾラン反応を起こすため、セメントとの置換率を増やすほど初期強度の発現が促進され、さらに強熱減量が大きいものほどAE剤の吸着が減少して所定の空気量を得やすくなる。

【正解と解説】

正解:4

  • 選択肢1:適当
    ナフタレン系等の従来の減水剤が主に「静電反発作用(ゼータ電位の反発)」で分散するのに対し、ポリカルボン酸系高性能AE減水剤は、セメント粒子表面に吸着したポリエチレンオキシドなどの長いグラフト側鎖同士がぶつかり合う「立体反発(立体障害)効果」が主たる分散機構です。これにより、高減水率と長時間のスランプ保持性能を両立します。
  • 選択肢2:適当
    コンクリートの収縮(乾燥収縮や自己収縮)は、毛細管空隙中の水がメニスカス(水面張力による凹面)を形成し、毛細管張力(引張力)が空隙壁に働くことで生じます。収縮低減剤は間隙水の表面張力を低下させることでこの毛細管張力を直接緩和し、乾燥収縮と自己収縮の双方を効果的に低減します。
  • 選択肢3:適当
    シリカフュームはセメント粒子の約1/100の微細な球状粒子で、セメント粒子間の空隙を物理的に埋めるマイクロフィラー効果と、水酸化カルシウムと反応するポゾラン反応によって極めて緻密な組織を形成します。一方で、極低水結合材比領域(20%前後以下)では水分の自己消費(自己乾燥)が激しくなり、自己収縮ひずみが著しく増大する点に留意が必要です。
  • 選択肢4:不適当
    フライアッシュのポゾラン反応は常温では進行が極めて緩慢であるため、セメント置換率を増やすと初期材齢の強度は小さく(発現が遅く)なり、長期にわたって強度が伸びる性質を示します。また、フライアッシュ中の未燃炭素(強熱減量の指標)はAE剤を強く吸着するため、強熱減量が大きいフライアッシュほどAE剤の吸着量が増加し、所定の連行空気量を得るために必要なAE剤添加量が大幅に増大します。

💡 本日の重要チェックポイント

  • 混和材の反応特性の整理
    • 高炉スラグ微粉末:潜在水硬性(アルカリ・硫酸塩刺激で硬化)。初期強度小・長期強度大、耐海水性・水密性向上、自己収縮増大。
    • フライアッシュ:ポゾラン反応(Ca(OH)₂ と反応)。ボールベアリング効果(単位水量低減)、発熱速度緩和、未燃炭素によるAE剤吸着に注意。
    • シリカフューム:超微粒子ポゾラン+マイクロフィラー効果。超高強度化(100~200N/㎟級)、自己収縮大。
    • 膨張材:エトリンガイト/Ca(OH)₂ 生成による膨張。材齢初期の湿潤養生が必須。

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